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第62話
定広side
「亜咲斗…」
あさちゃんが龍くんを呼びに行って少しだけ一人…
「何か…すげー恥ずかしいこと言った気がする…」
さっき言ったのに嘘はない。俺の初恋は亜咲斗で…智輝のこと好きになり始めたのも亜咲斗と重ねてたから…
そして怖くなったのも本当で…
亜咲斗を助けられなかったことをどれだけ悔やんだか…
自分の無力さをどれだけもどかしく感じたか…
それでもどうすることもできなくて…逃げたことをどう謝ればいいのか…
でも亜咲斗は謝罪なんて求めてない。ただ愛されていた…そして愛されていることを伝えること…
それが亜咲斗を救う一番の手段なんだと思う。
龍くんならきっと隣に立ってずっとずっと愛してくれる…だから俺は…俺達は…それを見守っていくだけだから…
そっと支えるだけだから…
「定くん」
部屋に戻ってきた二人は手を繋いで幸せそうに見つめ合い微笑んでいた。
その姿が俺まで嬉しくしてくれる…幸せにしてくれる…
亜咲斗…お前は愛されている…忘れないで…
「定くん。お話しできたの?」
「うん。ありがと。龍くん。」
「定くん。これ見つけた。本に挟まっちゃってたよ」
「ん?あ。写真?懐かしいなぁ」
「これいつ頃?」
「んとねぇ…うん。これは三家族で旅行にいったときの写真だから…もう十年くらい前だね」
「皆可愛い…てか…あいくん…変わりすぎ」
「あははっ!その頃はあいくんは俺より小さくて女の子みたいに可愛かったもんね。いつも間違われてたよ。それが嫌で鍛え始めたの。蓋を開けたら今の姿だよ」
「これ見たら律さんっぽい」
「律?」
「あれ?知らなかった?あいくんは律だったんだよ」
「えぇ!?」
「あれれ?聞いてるかと思ってた」
「律とも話したい!呼んでいい?定くん」
「いいよ。俺電話する」
すぐにあいくんは来て照れ臭そうにしてた
「何か…律時代と俺って…違い過ぎだから…何か恥ずかしくて…あさには言えなかった」
「律!律が始めにお墓来てくれたんでしょ?」
「…そうだよ…って…あさ…俺はあの頃と違うからこのまんまでいい?」
「うん!」
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