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生徒会長の特別なお仕事の説明 1

 俺、藤森わかながとある学園に入学した経緯については「需要と供給の一致」という言葉が何より分かりやすい。  中学に上がる前からいわゆるウリ専として適当に金を稼いでいた俺。  見た目は悪くないので意外と需要があった。最初は何もかも手探りだったけどその内、常連が出来たり客の当たり外れも理解する。  俺は惜しみなくお金をくれるオジサマ狙いで頑張ることにした。  お金がそのまま俺の価値だ。安い金額しか出さない奴は俺を低く見ている。逆に俺にいくら払ってもいいと思ってるオジサマは俺を評価してくれているということだ、馬鹿なりにそう解釈した。    そしていつの間にか俺を介してオジサマたちは交友関係を築いたらしい。最初は一人一人とのやり取りだったのが気づいた時には複数だった。知らない相手じゃないし酷いこともされないから一度に二人あるいは五人ぐらいでも受け入れた。一夜で五倍稼げると思うと得な気がしていた。俺はかなり浅はかだ。    病気のリスクも何も知らない俺をオジサマたちは丁寧に導いてくれた。危険な場所でフラフラしていた俺に家を与えてご飯をくれて自分たちに都合のいい常識もくれた。    複数のオジサマたちは共同で俺を囲ってくれたのだ。いちいち客を探さなくていい生活は正直言って楽だ。俺はちょっと違うけど家出少年みたいなものだったから住む場所を世話してもらえば逆らおうとは思わない。言われたとおりにセックスしていればいいだけの生活は天国みたいなものだった。    身体が疲れて怠いとかはともかく精神的につらいと感じたことはない。結構大切にされていたからだろう。  オジサマはすでに枯れている人もいたから俺に挿入するというよりも乱れている俺を見るのが好きっていう人が多かった。だから、人目のあるところでのセックスに嫌悪はないし、オジサマが連れてきた若い相手に腰を振るのも気にならない。犬や猫と絡んだりもした。自分の快楽よりもオジサマを楽しませるショーという仕事をしていた。    正直な話、学業面が最悪で進学もままならない底辺な俺。一生身体を使ってやっていけるわけもないからどうにかしないといけない。オジサマたちが俺に自分の財産を残していくから将来のことは気にしないでいいと言ってくれた。とはいっても、それを信じきれるような優しい人生を過ごしちゃいない。    別荘を買ってもらったり、そこに金塊を置いといてもらったり、俺の名義でオジサマたちの会社の株を大量に持っていたりしていても馬鹿な俺は価値があまり分からない。    そんな中、俺を囲うオジサマの一人が死んだ。  別に俺が殺したとかオジサマたちが殺し合ったとかではなく普通に寿命。  そして、一分一秒でも俺を独占したいというオジサマとずっとマンションに囲うのではなく普通の生活をさせてあげるべきだというオジサマで揉めだした。    そして出た結論が契約内容の変更。    今まで俺はマンションで囲われてオジサマたちが求めることを何でもこなすのが仕事だった。  それが学校に通いながら同じことをするというものに変わったのだ。    エッチなことは嫌いじゃないし人に喜んでもらえるのは好きだ。わりと充実していたので学校に通って普通の生活をしようという考えはなかった。これから高校生になるといっても毎日エッチに明け暮れていた俺は数学どころか算数も怪しいし、本はアニメ絵の表紙でも挫折するぐらいに漢字が読めない。どうしようもない馬鹿だ。    そんな俺が進学校に通うのはもちろん裏口入学だ。死んだオジサマは制服フェチで俺にいろんな制服を着せていたけれど、あえて外していたものがある。普通の男子用のブレザーだ。学ランや女子のブレザーは着ても男子用のブレザーは着なかった。それは自分の学校に通ってもらった時に袖を通して欲しかったから、らしい。    生きている内に自分の学園の制服を身に着けた俺にいやらしいことをいっぱいしたかったという妄想メモに愛を感じた。  馬鹿だから学校に通うのはイヤだと思っていた俺の心を軟化させるには十分だったし、複数のオジサマにウチの孫を頼むと頭を下げられたこともあって契約内容の変更を受け入れることにした。    ちなみに俺と片時も離れたくないという独占欲が強いオジサマは理事長に就任することで満足したらしい。マンションで囲うといってもオジサマたちには少なくない仕事があるので俺と顔を合わせてばかりもいられない。俺を放し飼いにするのが嫌で俺の状況が分かっているなら理事長になったオジサマは満足らしい。    俺の状況を把握してさえいればいいというのは俺の自由を侵害する気はないということだろう。    まあ、そんなわけで馬鹿でエロいこと以外の特技のない俺は全寮制男子校に入学した。

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