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生徒会長の特別なお仕事の説明 12

 比べるところじゃないけれどオジサマたちは誰もが責任の所在を明らかにする。  自分たちのせいにしていいから気持ちよくなってしまえと言ってくれる。    年齢的にウリ専なんてしてるのが許されない俺を分かった上でオジサマたちは俺を求めたのだ。リスクがあったとしても俺が魅力的だから欲しがった。そういわれて悪い気はしない。オジサマたちの手のひらの上で遊んでいるのかもしれないけれど先輩の欲求不満の解消に付き合ったのに恩着せがましいことを言われるのは勘弁してもらいたい。   「紅茶は何にも入ってないから飲んで」 「嘘ついたら死んでくれますか?」 「勝手にレモンと砂糖は入れてる」 「いただきます」    俺は紅茶はレモンティー派。そして、砂糖は二杯。  書記先輩は細かいことに気が利くのでそういうのは覚えてくれる。  たぶん、やろうと思えば甘やかし上手なんだろうけどあまりその技能を見せてくれない。  俺は甘やかされて大事にされたい派なのでいまいち噛みあわなくて残念だ。   「夏休み前ぐらいに転入生がくるって……」 「あぁ、そうなんですか」 「清純(きよすみ)から話し聞いてない?」 「……とくには」    清純というのは副会長の名前。デウスのおかっぱ眼鏡が定着しすぎて一瞬誰のことか分からなくなる。代替わりしたといえ、前理事長の縁者として副会長はそれなりに重要な情報が入ってくるポジションにいる。    理事長からすると俺を呼び出してイチャイチャするための機会をわざわざ潰すことはないので副会長に声がかかることはない。未だに教師からは副会長に情報がいくのが早いけれど俺にはデウスがいるので、ぼっちで何も知らずに困るということはない。  こうして気まぐれに書記先輩も俺にいろいろと教えてくれるので副会長とギクシャクした感じでも何とかなっている。   「正式な書類が来るのはもっと後だと思うけど……転入生、気を付けるんだよ」 「夏休み前だと三年生は研修旅行という名のバカンスですよね」 「俺がいない間に勝手に他人の犬になるんじゃないよ?」    心配してくれているのか俺の頬を両手で挟んで顔を近づけてくる。キスされるのかと思って目を閉じると生徒会役員室の扉が開いた。乱暴な動作なので役員の人間ではないと思ったら、その通り。    不良を引き連れたクラス委員長が仁王立ち。   「授業サボってんじゃねえ、ゴミどもが」    これは俺に迫っていた書記先輩をポイッと捨てた不良の言い分ではなく顔立ちは平凡そのものなのに口が悪い優等生という矛盾をはらんだクラス委員長の台詞。  クラス委員長は真面目で曲がったことが嫌いだけど口が悪い。  いや、書記先輩と俺のことを心の底からゴミだと思っているからただの素直というべきかもしれない。   「どうしようもない時以外は授業を休むなと言っているだろ、この能無し」    俺よりも若干、視線が低いところにあるクラス委員長。極道の家の子供らしくてみんなから一目置かれるのかと思えばそんなこともなく平凡な顔なのにケツ処女を狙われているらしい。そのせいでモテモテな俺をひがんでいる。    その内、護衛のように付き従うプロレスラーみたいな体格の不良にパクパクされるのだろうか。俺の視線に気づいたのか不快そうに「哀れむな、底辺」と罵られた。俺が能無しで底辺なのは事実なので気にせず「迎えに来させて悪かったな」とマドレーヌを食べさせてやる。    俺の手からものを口にする誘惑に抗えるヤツはそれほどいない。普通に食べたクラス委員長に俺は紅茶を口移しで渡す。  かわいそうなクラス委員長の処女が散る前に童貞をもらってしまおう計画。    デウスが言った書記先輩がくれるものは媚薬マドレーヌと転入生が来るという情報とクラス委員長との交友関係を温める機会、だったみたいだ。 ------------------------------------------------------------------------ 区切りがつく毎に完結にしておこうと思います。 そのうち続きを掲載します。

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