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第1話 四悪童

最後に………… 凄い想い出を作って 卒業しょう…… オレ等は四悪童だかんな…… 飛鳥井康太は休み時間の合間に空き部屋に出向き 緑川一生、四宮聡一郎、一条隼人の四悪童で揃い、悪事の算段をいていた 「最近、四悪童やっとらんもんな 卒業まで数ヵ月 此処でやっとかんとな、四悪童の名が廃れる。」 康太がキラキラの瞳で、一生、聡一郎、隼人に話す 一生が「考えは、あんのかよ?」と問う 康太は首をふった 聡一郎が「何かやりたいの、有るんですか?」と尋ねた 「置き土産になるようなもん。遣りたい」 康太がワクワク答えた 隼人が「オレ様も何か遣りたいぞ!」と楽しそうに話す 「卒業だかんな 修学館 桜林学園に四悪童が居ました! って残る様なの遣りたい。 嫌われ続けたオレ等の集大成位しなきゃな!」 四悪童として、意味嫌われた時代は夢やお伽話ではない 「オレ達は、オレ達らしい卒業記念をしねぇとな! オレの子が入学しても残ってる位の……伝説を作りてぇな。」 康太が呟くと、一生は康太を抱き締めた 「お前が望むなら、俺等は命を懸けても遺してやる 俺等はそうして生きて来たろ? これからも、それは変わらねぇ。」 この先も……何処までも、共に生きて行くと誓った 聡一郎は康太の首に腕を巻き付けた 「君の為なら、どんなに辛くても、成し遂げる 僕達はこれからも、そうして生きて行くんです。」 君がいない世界には生きる気すらないんですから……と、聡一郎は心に決めていた 隼人は康太の胸に顔を埋めた 「オレ様は、康太の側から離れないと決めた。 死ぬ瞬間まで……康太と共に……そうだろ?」 大切なのは康太一人 離れては生きられないのだ……と、隼人は本音を漏らす 緑川慎一が空き部屋まで、康太を呼びに来た 「康太、サボると卒業が遠退きますよ!」 最近の慎一は……容赦ない 康太は慎一に手を伸ばすと、慎一は子供でも抱くように康太を抱き上げた 「慎一は最近優しくねぇもんよー」 「優しいでしょ? 主を迎えに来る忠犬でしょ?」 康太は嬉しそうに笑った 慎一はA組に入っても文句のない頭脳で編入してきて直ぐのテストで高得点を取った だが、相変わらず慎一はC組に居て、移動する気すらないみたいだ。 「慎一、腹減ったもんよー オレ、食堂に行く 鯵フライ定食食いたいかんな!」 康太は慎一の腕から降りると、走り出した 食堂へ向け走っていると、ヒョイと首根っこを掴まれた こんな持ち方をするのは、一人しかいなかった 後ろを振り返ると、榊原伊織が康太を摘まんでいた 「離せ伊織!」 康太が怒るのもお構いなしで、康太を摘まんでいた 「何処へ行くんです?」 「食堂!離せ!妻を摘まむな!」 康太は榊原に噛み付いた 榊原は笑って康太を持ち上げ抱き上げた 「これなら許してくれますか?」 康太の頬はフグ並に膨れ上がっていた 榊原は康太を下ろした すると、康太は走り出した 相当、腹が減っていたみたいだ 榊原は、康太の後を揺ったりとした足取りで追った 食堂に行く階段を降りていると、榊原は腕を掴まれた 歩を止め、見ると、2年の現執行部の役員、石田琉生だった 「伊織さん。僕の話を聞いて下さい。」 康太と恋人同士になる前に手を出した……相手だった 「僕は話す事なんてありませんと言いませんでしたか?」 榊原は、毅然とした態度で、突き放した 「貴方の恋人が、僕より綺麗なら諦めも着いた! 清家静流だったら、諦めも着いた! でも、何故四悪童? 僕はアレよりも劣ると言うのか? だから、諦めない事にした!」 石田は一歩も引かない態度だった 康太の後を追って、一生達が横を通る 一生は「醜い!」と吐き捨てた 聡一郎は「憐れ!」と揶揄し 隼人は睨み付けた。 慎一は「引き際も知らんのか…惨めな。」と痛烈な言葉を送った そして一生は「旦那、行くぞ!」と、榊原の腕を取り歩き出した 慎一は榊原に「足を止めるから話をされるのだ!足を止めるな!」と、怒って言った 榊原は、苦笑した 食堂に行くと康太は、兵藤貴史と共に昼食を取っていた 兵藤の顔が悪ガキの様に笑う。 康太は、そんな兵藤の頬を摘まんだ そして、榊原達の姿を見ると立ち上がり、康太と拳を合わせ、食堂を出て行った 兵藤と別れると、康太は果てを見て嗤っていた その瞳はキツく……輝いていた 一生は気にする風でもなく、康太の横に座った 聡一郎も、隼人も榊原も、昼食を取りに行き、康太の前に座った 榊原は康太に「何か有りましたか?」と尋ねた 康太は何も応えなかった そして、トレーを持つと返却口に返し 「先に帰る。」と言い残し食堂を後にした 榊原は、一生に「何か有りましたか?」と、尋ねた 一生は「何もねぇぞ。四悪童で最後に何かやろう。位しか話してねぇぜ!」と答えた 榊原は、思案する なら……「兵藤?」と。 「それは知らん。 あの二人が動く気なら絶対に解らねぇな…。」と一生はごちた

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