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第79話 明日へ

朝…目が醒めると…康太は…窓際に立っていた 「康太…?」 窓からは…冷たい風が…吹いていた 「伊織…外を見ていた…」 榊原は窓を閉め…康太をベッドの中へと入れて抱き締めた 「冷たくなってます…何をしてたんですか?」 「力は使っちゃいねぇよ…朝陽を…見てぇなぁって想って…見てた…」 「朝陽には早いでしょ…? 見たいんですか?」 「新しい…朝が…始まるんだぜ…見てぇなぁ…」 「ならば、今から飛鳥井建設に行っても間に合います! でも軽く…体を洗わないとね…」 「だな…精液の臭いが…すげぇかんな」 康太も榊原も苦笑してた 浴室に入り体を洗い…中も外も綺麗にしてもらう 榊原も体を洗い…康太の支度を手早くし、自分の支度をすると、康太に暖かい格好をさせ、部屋を出た 一階に降りると…一生達が待っていた 皆…想いは1つだった 一生は「始まりの朝だぜ!朝陽を見に行くと想ってた」と、告げた 聡一郎も「君達なら…起きてくると想ってました 隼人も「あの日…ハワイで見た…朝陽をオレ様は忘れてねぇぜ!」と、笑い 慎一は「俺だけ見てないので…見ずにおくものですか!」と拗ねた 「なら、皆で見に行くもんよー!」 康太が言うと皆嬉しそうに…駐車場へと向かった 駐車場に行くと、兵藤が待っていた 「窓からは…俺に来い!って合図して待たせ過ぎだろ?」と兵藤はボヤいた 康太が窓際に立っていたのは…兵藤を誘う為? 「オレが朝陽が出てねぇか、全裸で窓から外を見てたら…貴史が自分ちの屋上に出てたんだろ? で、目が合ったから…出ろって合図を送っただけだろ?」 「全裸とか言うな! 窓枠に…股間は隠れてたからな見てねぇよ!」 と、兵藤は慌てた 榊原は力哉の車の鍵を開け…皆を乗せた 康太は…後部座席に…皆と乗った 飛鳥井建設に到着すると…地下の駐車場に車を停め…守衛室に連絡を入れた 「飛鳥井康太だ!屋上に行きてぇ! 通してくれ!」と告げると…警備員が慌てて地下駐車場に迎えに来た! 「親父、悪かったな!通してもらうぜ!」 康太が守衛の古株の警備員に声をかける 「ゆっくりな!出る時に声かけてくれよ!」 康太は…おう!と声をかけた 外は…まだ薄明かるくなっただけで…陽は昇っていなかった 康太は…朝陽が上る方を向いていた そして、指を指し… 「朝陽が上ると…すげぇ眩しいんだぜ…」と皆へ声かけた 康太の指の方を全員向いた 指を指した方から…赤く燃える…朝陽が顔を出し… 辺りが…紫色に染まり…神秘的な…紅さを見せ付け…朝陽は…上り始めた… 「おっ!顔を出したな…見てみろよ貴史… オレ等は…門出には…朝陽を見に来るんだよ… 生まれし朝の光に照らされて…新しい…朝が始まる… オレ等は…この朝陽の紅さを忘れねぇ… 始まりの朝陽を忘れねぇ… 何年経っても…この朝陽を忘れるな…貴史…」 兵藤は、その瞳に焼き付ける為に…朝陽を見た… 「始まりの紅さか…忘れねぇよ… どんなに走り続けようとも…この日の朝陽を俺は忘れねぇ…」 兵藤は、康太の胸を拳で軽く叩き 「俺達は…これから、幾度も…朝陽を見たって…俺はこの日の朝陽を忘れねぇぜ! 俺は…おめぇの場所へ戻る… おめぇと共に…走れる所まで走る… なぁ、康太、そうだろ?」 「オレの所へ帰ってこい! この命…尽きるまで…その動き…停めることなく走れ…」 「明日へ続くな…」 「おう!明日へと続く日だ! スタートを切ったばかりだろ?」 「また……見に来ような… お前等と…一緒に見ような…」 兵藤は遥か…水平線を見て……言葉を綴った 一生が「写真撮ろうぜ!」と提案すると、康太が守衛室に電話して…シャッターを押してくれ…と頼んだ 快く快諾してくれ…守衛は… 朝陽を背に向けた…全員を撮った 何枚も…何枚も…撮ってくれ… 康太は…お礼を言って、戻ってもらった 「この写真は…応接間に飾る そして、おめぇらにもパネルにてやるからよ!待ってんよ!」 榊原が「朝陽が上りきりますね…上る…朝陽は…何故、あんなに紅いんでしょうね…」と呟いた… 一生が「命の…始まる…朝だからだろ?」と言うと 慎一が「やっと見れました… 俺は…この日の朝陽を忘れません!」と言葉にした 聡一郎も「スタートを切りましたね…この先…どんなに困難な道に行こうとも…僕等は共に在ります…僕は…君のいる場所に…還って行きます」と朝陽に染まった康太を見詰めた 隼人も「オレ様は…ハワイの朝陽も 此処で見た朝陽も好きだ… 康太…オレ様は行く… 行けるところまで…行こうと思う… だけど、オレ様は…康太の所へ還って行くのだ…。 康太…お前のいる場所に必ず還る だから、一緒に行くのだ…」と言葉にした 康太は…円陣を組んだ 手を重ね合わせ… 「永久の誓いを此処に誓う! オレ等は…共に在る事を誓う!」 康太は…叫んだ 「俺等は…共に駆けて行く! そして還る…必ず還る!」 一生も叫んだ! 「辛くても…投げ出さない事を誓う! 修羅の道を歩く盟友よ…共に闘わん!」 榊原も叫んだ 「後ろは振り返るな…前を進め! その果てには…必ず俺達はいる!」 慎一も…叫んだ 「悔いのない日々を! 悔いのない自分を! この日の朝陽に誓う!」 聡一郎も叫んだ 「俺等の闘いは始まったばかりだ! 苦しくても辛くても…前に進む! お前の前を…俺は…走り続ける事を誓う!」 兵藤も叫んだ! そして全員で…その手を…空へ上げた その手の先には…蒼空が広がっていた… 全員………その掌を…固く握り…決意を秘めた その後、皆で手を叩き…上りきった太陽を見た 飛鳥井の屋上を後にする 康太は…一頻り…果てを見て… 「康太、帰りますよ!」と呼ばれ 走って…行った この道は…果てなく続く… 明日へと続く… まだ始まったばかりだから! 「待てよ!このぉ!」 だから、歩いて行こう… 君のいる場所………まで……         END

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