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春4

「!」 目を瞠って赤面する僕の耳元に笹川君が顔を寄せてくる。 「ちなみに俺は、優さんの泣き顔を思い浮かべながらいつも抜いてますよ?」 密やかな声で打ち明けられ、羞恥と悦びが全身に広がる。心臓がドキドキと煩いほど高鳴った。 笹川君は僕の手のひらを茎にあてがうと、その上から自身の大きな手のひらで覆った。 「あ……っ」 笹川君は僕の手ごと、上下に扱きだした。 「ん……っ!」 その刺激にすぐさま自身が硬さを増す。 「ほら、自分で動かして?」 「は、恥ずかしいよ、笹川君っ」 僕は目の前の笹川君から顔を背ける。けれど指先で顎を掴まれ、正面に向けさせられた。 「俺のことを想ってる優さんの姿が見たいんです」 真剣な声音の笹川君に、僕はごくりと唾液を呑み込んだ。 「う、うん……、わかった……」 僕は頷いてギュッと目を瞑った。 そして笹川君の手のひらに包まれていると考えながら、自発的に腕を動かし始めた。離れている間中恋しくて堪らない笹川君の姿を瞼の裏に思い浮かべる。 「どんなこと考えてやってます?」 「さ、笹川君の匂い……、思い出すんだ。好き、だから」 首筋に顔を埋めた時の煙草の混じった香りが特に好きだ。 「他には?」 「身体……、すごくかっこいい」 僕とは全然違う筋肉質な胸や腹を思い出すだけで体温が上がる。 「あと、声……」 いつも僕を気遣ってくれる低くて優しい声……。 「俺の声、好きなんすか?」 突然、耳元で囁かれた。ドキリと心臓が鳴る。 「う、うん……っ」 「俺も優さんの声、すげー好きっすよ」 笹川君が喋るたび、耳朶に吐息が掛かってくすぐったい。 「特にイく寸前の声」 「……!」 頬が一気に火照る。手の中の茎が脈打った。 笹川君は手を離すと、僕のパジャマのボタンを外しだした。ひとつずつボタンが外されていくたび、思いがけない欲情が湧き上がってくる。 「ここは弄らないんすか?」

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