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春3
「ど、どうした……?」
「課長、あれは、営業先の病院の先生がファンだって言ってたから、話のネタに情報収集してただけっすよ」
「へ……?」
驚いて間抜けな声を出してしまった僕の身体を、笹川君は腕の中に引き込んだ。
「もしかして、ヤキモチっすか? 課長はあんなアイドルより、何百倍も何千倍も可愛いっすよ」
「……っ!」
耳元で囁かれ、僕は涙も蒸発してしまうくらいに真っ赤になった。背中に回された笹川君の腕に力が籠る。
「優(すぐる)さん」
そして低く甘い声で初めて名前を呼ばれ、僕の心臓はトクンと大きく跳ねた。
「男である優さんを、俺は好きになったんすよ?」
笹川君はそっと腕を緩めると、少し首を傾げて僕の顔を覗き込んだ。
「俺、優さんのこと愛してます。ずっとずっと。信じて、くれますか?」
まっすぐに僕を見つめる曇りのない瞳には真摯な光が宿っていた。
胸の奥から熱い塊が込み上げてきて、喉元で弾ける。
「さ、さが……っ!」
とめどなく溢れてくる涙に、僕はもう声も出せずにただ何度も首を縦に振って答えた。
「よかった……」
笹川君は安堵の息を吐きながら小さく微笑むと、ふいに視線を落とした。
「優さん、勃ってる?」
「!」
名前を囁いてくれる笹川君の甘い声に、僕の身体は素直に反応していた。
「こ、これは……あ、あのっ」
「もしかして、俺に名前で呼ばれたから?」
いきなり図星を指され、これ以上ない恥ずかしさでまた視界がぼやけてくる。
「もう……、どんだけ可愛いんすか……」
笹川君は呆れたような声音でそう言うと、パジャマの布地越しに硬くなってしまった僕の茎にそっと触れた。
「ん……っ! や……っ」
「このままじゃ辛いでしょ?」
笹川君の有無を言わさぬ両手に、ウエストをずり下げられた。立ち上がり始めた先端が顔を出してしまう。
「あ……っ」
「優さん、今日は自分でやってみて?」
笹川君は僕の手首を掴み、茎に導いた。
「え! ど、どうして……?」
「俺と離れてる間、俺のこと考えて抜いてくれてないんすか?」
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