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冬7

「優さんはこんなにも俺を幸せにしてくれる人だって伝えたいんです。そして優さんもこんなにも幸せに過ごしているんだって、ご両親に伝えたいんです」 「笹川、君……」 顔を上げた。僕を映した真摯な瞳に向き合い、再び涙腺が緩む。 「だって、一番大切なことは、俺たちが幸せかどうかってことでしょう?」 そう言って微笑んだ笹川君の手のひらから温かな体温が伝わってきて、固く握り締めていた僕の指が解けた。 笹川君は僕の手のひらを自身の頬に押し当てた。その仕草は、不安に惑う僕に自分の存在を伝えているかのようだった。 胸の奥が再び痛んだ。でもそれは、長年そこにあったしこりが溶け、押し流されていく痛みだった。 「うん……、そうだね、笹川君。僕は、幸せだよ。……みんなに、伝えたいよ」 僕はポロポロ涙を零しながら何度も頷いた。 「断られたって、俺、何度でも行きますから」 笹川君は僕の涙を拭いながら、ふいにおどけた表情になって笑った。僕も微笑み返す。 「あ、こんなとこにいたら、また風邪ひいちゃいますね。さ、早く中に入りましょう」 笹川君が僕の背に手を当てて居間へと促してくれる。 「優さん、腹減ってるでしょ? 何食います?」 「君が食べたい」 「はい、わかり……、え…………、ええええっ!!」 もうすぐ、春がやってくる。 笹川君、僕は変わるよ。 君のためにも、僕自身のためにも。 ***冬 終わり

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