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朝はキスで、お目覚めを

――ピピピピピ。  朝の六時半、設定された時刻通りに鳴った目覚まし時計の音にビクリともせず、すやすやと幼子のように眠る男の子。  けたたましく耳障りな音が鳴り響く室内へ、ガチャリと男が入ってきた。  彼は男の子が眠るベッドにそっと近づき、目覚まし時計を止める。  そして愛おしそうに男の子の方へ目を向けた男は、ゆっくりと男の子に顔を寄せた。 「朝ですよ、悠衣。起きてください」  と同時に、その柔らかそうなほっぺに口付ける。 「うっん……」  瞼を揺らすが、中々起きる気配がない男の子。  何度か体を揺すり呼びかけるが起きない男の子に、男は「仕方ないですね」と笑みを深め、ベッドに片足を乗せ、その唇に自身の口を寄せた。 「起きない、悠衣が悪いんですからね」  そして思い切り、唇を触れ合わせる。  半開きだった口へ舌を押し入れ、力ない男の子の舌へ無理やり自身の舌を絡ませた。 「ふっ、ん……は、ぁ……」  朝にもかかわらずくちゅくちゅと卑猥な音が室内には響き、男の子の息も上がっていく。  微かに漏れ出る男の子の声に一層笑みを深めた男は、男の子の舌を思い切り吸った。 「ひゃっ」  そして男の子が、やっと目を開ける。 「はぁ、はぁ、……柊、兄?」 「はい。おはようございます、悠衣」  唇を離し、そっと男は男の子の髪を撫でた。  ボウッと焦点の合っていなかった瞳が徐々にしっかりしていき、「おはよう」と男の子、もとい悠衣が微かに笑みを浮かべながら男・柊に向かって手を伸ばした。  腰に手を回し、抱き起す。  膝に悠衣を乗せた柊は、頭の後ろに手を回し、悠衣と焦点を合わせる。  それを見て何をして欲しいか悟った悠衣は、そっと唇を重ね合わせた。  それはさっきまでの激しいキスとは違い、触れるだけのもの。  けれど甘くて、心をほわほわさせるもの。  何度か角度を変えて互いの唇を味わった二人は、そっと唇を離す。 「朝食、食べますか?」 「うん」  そして、階下へ手をつないで降りていった。

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