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甘やかして、優しくして、惚れさせて

圭人との出会いは、 高等部進学の日だった。 中等部まで寮は4人でひと部屋だが、 性教育プログラムが始まる高等部では 2人でひと部屋となる。 同室者はすなわち、性交の相手。 そういう意味で高等部での部屋組発表は 独特の緊張感を持って行われる。 清蘭も高等部進学の日は、 不安と緊張で落ち着かなかった。 正直なところ清蘭は 中等部で顔を合わせていた クラスメイトの誰かと そういうことをするこは、 あまり気が進まない思いだった。 しかし予想に反して、 同室の相手は初対面の圭人だった。 清蘭とは違い、 圭人は高等部からの外部進学だ。 寮の部屋のなか、 窓から外を眺める圭人を見つけ、 「は、じめまして。」 と緊張気味に話しかける清蘭に 圭人はまぶしい笑顔で笑った。 「おう!宜しくな!」 爽やかイケメンで何でもできそう という最初の印象の通り、 圭人は勉強もスポーツも性交も とても器用にこなした。 こんなに出来た人間で 嫌味も全くない。 清蘭からしてみれば 惚れない方がおかしかった。 「藤崎?身体つらくないか?」 過去を思い出していた清蘭に 圭人が声をかける。 「んー、平気、ありがとう」 「ん、そっか。 最後辛そうだったから、心配した。」 圭人は性交を終えたあとも、 こうして清蘭を気にかけてくれる。 痛みを覚えたことに気づかれた、 と反省しながらも、 清蘭は嬉しくてたまらなかった。 「ねぇ、今日も一緒に寝たいな!」 性交のあと、圭人はいつも 清蘭を甘やかしてくれる。 この雰囲気の中でなら、 多少のわがままは許させるだろうと、 いつも清蘭は恋人らしいことを要求する。 例え本当の恋人でなくても、 この瞬間だけは心が満たされる。 「なんだよ、可愛いな。」 くすりと笑いながら、 清蘭の要求を受け入れ、 ベッドに入る圭人と抱き合って眠る。 清蘭は幸せな瞬間を噛み締めた。 腕の中で寝落ちた清蘭を見つめ、 圭人はそっと微笑んだ。 清蘭のおでこにそっとキスをして、 清蘭を起こさないようにぽつりと囁く。 「なぁ、好きだよ。 早く俺のことも好きんなってよ。」 圭人がこの学園に入学してきて、 初めて性教育プログラムの話を聞いたときは 非常に驚き、嫌悪すら感じた。 しかし、清蘭をひとめ見たときに、 嫌悪感など吹き飛んだ。 この子を抱くのは自分だけだと感じた。 甘やかして、優しくして、惚れさせて、 自分なしではいられないように、 心も身体も奪い取ると誓った。 幸い、圭人に抱かれている時の清蘭は 至極気持ちが良さそうで、 抱き合った後は可愛く甘えてくれる。 惚れるとまではいかないが、 身体の相性は悪くないと思ってくれている。 幸せそうに眠る清蘭をみつめ、 圭人も満たされた気持ちになった。 はやく本当の恋人になれる日を願って 圭人はそっと目を閉じた。

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