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お会計を終えたおにーさんは、エッチなものが入ってるとはおおよそ思えない無地の茶色い紙袋を持っていた。外観はあんなに怪しげなのに商品を入れてくれる袋は普通なんだとなんとなくがっかりした気持ちになった。 「なんか欲しかったのか?」 「……紙袋は普通なんだね」 「そうだな、透明の袋に入れるわけにもいかねえだろ」 「それもそうだけど、薬局でコンドームを買った時にこれ見よがしに紙袋に入れられるのは恥ずかしくて居た堪れないと思ってたのは俺だけ?」 「ぶっ、そっか、お前も買ったことあるんだな」 「もお!」 すっかり忘れ去られてるかもしれないけど俺にだって彼女は居た。当然、その頃はちゃんと俺がコンドームを用意してた。今は俺が買うことはなくなったけど、よくお世話にはなっていると思う。最近たまに、それを付けている時間でさえ待てない時があるけど、それはそれだ。 そうしてエッチなお店を後にして、食品や日用品を買って帰ってきた。冷蔵庫に直すものはおにーさんの担当で、それ以外は俺の担当。パパッと直して、最後に残った紙袋。寝室に入っていつもコンドームを直しているところに入れる。ローションやゼリーも一緒に入れて、オナホはどうしよう。っていうかこれどんな触り心地なんだろう。おにーさんはどんな基準でこれにしたんだろう。 むずむずと湧き上がった好奇心に勝てないのは、俺の悪い癖だと思う。パッケージを開けてそれを取り出すと思ったよりも柔らかいものだった。シリコン製のオナホらしい。俺の意見(?)を汲んで貫通型。色はなんでこんな優しい色合いのピンクなんだろう……もっとどきつい色の方がこういうおもちゃっぽいのになあ。ふにふにとその柔らかい触感を楽しみ、少し引っ張ってみる。やっぱりそれなりに伸びる。というか伸びなきゃこの中に俺のん入んないよ。人並みサイズ(だと思いたい、おにーさんのを日々見てると自信がなくなってくる)な俺の性器がきちんと収まる程度にはこの穴も伸びるんだからなあ。 「誠?寝たのか?」 俺があんまり戻ってこないからか静かな声をかけながら寝室の扉を開けたおにーさん。確かに俺はベッドにいるけど寝てない。ベッドに座ってさっき買ったおもちゃをビヨーンと伸ばして遊んでいる。 「ったく、そんな遊びたいなら遊んでやるのに」 「?」 「ほら、それ貸せ。あと、ズボン邪魔」 「ちょっ!待って!そおいうことじゃない!」 「ちげぇの?」 確かに遊んでた!遊んでたけど性的な遊びじゃなかった! ああもう俺のバカ!なんでこんなバカなもので遊んでたんだよおっ! 「違うのっ、どんなのかなあって気になって。そしたらピンク色の優しい色してるなあとかよく伸びるなあって観察してただけ!」 「他の色もあったけど、お前にはこの色だろ」 「?」 「先っぽ、色薄くて綺麗だから似合いそう」 それでピンクか!いくらなんでもこんなピンク色してないよ!もうちょっと、もうちょっとあれだよ! 焦る俺と楽しそうに乗りかかってくるおにーさん。ああだめだ、俺自ら変なスイッチ押しちゃった……。諦めておにーさんにオナホを渡して、優しくしてねと呟いた。 まだ日も沈まない時間に、真っ裸でベッドに沈む。 俺に乗ってくるおにーさんのシャツに手をかけて、ひとつずつボタンを外す。少しずつ見えてくる素肌にドキドキする。そんな俺に構いもしないおにーさんはまだ赤い乳首を見てそっと触る。 「まだ乳首腫れてんの?」 「昨日いっぱい噛むからじゃん」 「痛い?」 「ッ、痛いっ!引っ張ったり噛んだりしちゃだめだからっ」 そう言っても聞いてくれるはずのないおにーさんだから、片手でクリクリと乳首を捏ねる。 「ほんと良く腫れてんな」 「噛みすぎ!」 「………悪ぃ」 分かってくれたならいいよって思ったのに、悪い違いだった。おにーさんの悪いは、悪いまだ噛むからって意味だった。その証拠におにーさんは何もされてなかった乳首に唇を寄せてじゅっと強く吸う。 今日はだめっ、明日から仕事だからあんまりしないでって思うのに、おにーさんは俺が逃げれないように乗っているせいで逃げようがない。 「痛ぁっ、いやあっ、吸っちゃやだっ」 「嫌?」 「ッっ、噛むのもっ、やっ」 「どっちもは聞けねぇな」 「ぅっ、やっ、す、吸わ、なぁでっ」 そういえばガリッと噛まれる。痛くて一瞬浮いた体はすぐに抑えられる。そのことに興奮して体が震えた。そんな俺を見逃すはずがないおにーさんはそのまま俺の体の至るところを噛んで行く。それは乳首から肋に行き、肋からお腹に行き、今は俺の太ももにある。足を開いて抑え付けられているからきっと全部丸見えで、すごくすごく恥ずかしい格好をしている。 「いやっ、待ってぇっ、いやっ」 「恥ずかしい?」 「んっ、やめぇっ、いあぁ」 いい顔って言ったおにーさんは内腿に口を寄せる。痛いくらいに吸い付かれたから、そこにはキスマークが散っているだろう。もおやめてっ、何度見られたとしてもこんな体勢は恥ずかしすぎるっ。 ちゅ、ちゅ と何度も吸い付かれて、もう恥ずかしいやら興奮するやら、とにかく忙しい俺は色んなところから涙を溢して、耐えた。

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