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198.おにーさんサイド

「出させないなら、もっとおちんちんいじめて」 そんなことを俺の腕の中で言った誠にそっとほくそ笑む。 こうして堕ちていくのは誠か俺か、どっちだろうか。 なんでもない!気のせい!違う!と言いながら逃げるようにシャワーを浴びに行った誠を見送って体を起こす。 せっかくシャワー浴びたのにこのシーツで寝るのは嫌だろうなとシーツを替える。 そうしてる間にやたらシャワーの早い誠が出て来て、その手にはしっかりとドライヤーが握られている。 「ほら、ここ座れ」 「うんっ!」 誠がこうしてドライヤーを持ってくるのもそう珍しくない光景だ。ここまで甘やかす必要があるのかと自分でも思うが、誠のことはつい構いたくなるからどうしようもない。 一緒に過ごせば過ごすほど、俺はこいつに堕ちていく。 絶対に手離せないと分かっているから、俺はこいつを逃さない。 「あちっ!」 「あ、悪ぃ。考え事してた」 「ん、いいよぉ。ふふっ、気持ちいぃ」 「こら、凭れたら後ろ乾かねえよ」 「このくらい平気だよ」 誠の素直さに救われる。 歪みまくった性癖も独占欲も、誠はなんでもないようにけろっと受け入れるもんだからたまらない。 頭が乾いてドライヤーを直しに行こうとする誠を引き止めて抱き締める。 このほっそい体で俺を受け入れるこいつが、たまらなく愛おしく感じた。 「穂高さんが甘えん坊だぁ」 「うるさい」 「えへへ、そっち向いていい?」 「嫌」 向かせまいとガッチリ抱き締めると痛いと身動ぐ誠。 それでも逃げないのが誠で、それに甘えてるのが俺。 誠が知らないだけ、気づかないだけで色んなところ甘えてる。 「誠」 「はぁい」 「なんかすっげえ好きだわ」 「穂高さんのデレ期かな」 「そうじゃね?」 「やばい、俺の心臓破裂する」 するかよ。 ほんと、誠のことは手離せそうになくて困る。 誠が甘えたかったのか、俺も甘やかしたかったのか誠を抱えるように眠ると朝までぐっすりだった。 誠を起こさないように気を付けながら布団から出る。 今週みたいに新歓とかがあればそのために残業が増えていく誠はきっと寝不足だろう。あの細い体のどこにあるんだと言いたくなるほどに元気だけど、休みの日はよく寝てる。寝ると食べるなら寝るのを選ぶであろう誠だから休みの日は昼飯までなら好きなだけ寝かすことにしている。いくらなんでも昼まで抜くのは、見逃せない。 大方の家事を終わらせ、コーヒーを淹れてひと息ついているとのそのそと誠が起きて来た。 「おはよぉ」 「おはよう」 ごそごそと冷蔵庫を漁った誠は水を持ってきてぐびっと飲む。ぷはー生き返る!と言いながらソファに沈んだ誠はどう見ても生き返ったようには見えなかった。

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