「誠」 「はぁい」 「ちょっとこっち」 「うん？」 ゲームをして、コントローラーを投げたタイミングでおにーさんに呼ばれた。 なんだろう？とダイニングテーブルに向かうと、手紙。 え、手紙？ なに、また俺白衣に手紙とか仕込まれてた！？と1人焦ってみたけど、そんなものではないらしい。 「うん？20000いいね？」 「そう。で、お前へのご褒美だって」 「ご褒美！？なになに？ケーキ？アイス？」 「鞭」 むち？むち……無知？むち、鞭！？！？ 「ふあっ！？」 「鞭だって」 「なんで！？俺なんでご褒美とか言って打たれるの！？待って俺打たれて喜べるような子じゃないよ！」 「飴と鞭の鞭」 「そこなんで飴じゃないの！？」 「俺が誠を傷つけることしないって信用とか？」 「傷つけられたことはないけどさ！酷いことはされてるよ！」 「痛いだけにしたことあるか？」 「………」 それはないから、俺は首を横に振るしかない。 痛いことも、される。恥ずかしいこともされる。 だけど、なぜかそれだけじゃないとしっかりと覚えてしまっている。 「………何、する気？」 「なんか見に行く？」 「………」 「残念ながら鞭とか持ってねえの」 「いらないからね！！！」 「とりあえず行くか」 「なんでぇぇえ」 「お前の意見聞いてやるだけ優しくね？」 ………どうせなら意見も聞かず無茶もしない優しさがいいなぁと思うけど、それが無理なのはもう知ってる。 「痛いのは、やだ」 「大丈夫、新しいの欲しいだけだから」 「なんの？」 「行けばわかる」 いや、分かりたくない。全然分かりたくないと思うけど、ここでついていかなくておにーさんセレクトを買ってこられて使われるなんてその方が絶対にもっとやばい。 そう思うと俺には行くという選択肢しか残ってなくて、渋々とおにーさんの後をついて行った。 そうして車に乗って、一度だけ来たことのあるお店に着く。本屋って書いてるのに全然本屋さんじゃないそのお店はエッチなグッズがたくさん置いているのも知っている。 入りたくないと思っているのに、いざ入ると俺には馴染みの少ない大人のおもちゃに目を奪われてしまうのは俺の悪いところだと思う。 「うっわぁ、相変わらずぐろてすくぅ」 こんなの入るの？ あ、いや、おにーさんのもだいぶ暴力的な大きさだけどさ？ 大きさだけじゃなくて動きとかさ、何あれパール入ってるの？だめじゃん、いらないじゃんと思いながら眺める。 こんなのなら後ろにあるディルドの方がよっぽどまともな思えてくるから、この店は俺から正常な判断能力を奪う。 「誠」 「はぁい」 「どっちがいい？」 おにーさんのそばに寄る前に、そんな言葉が聞こえて俺は身構える。おにーさんがそう聞くってことは俺はどっちかを選ばなければどっちも試される最悪なパターンだ。 せめて選択肢がまともであることを祈りながらおにーさんの手元を眺めて、俺は首を傾げる。 おにーさんが手に持つのは輪っか、と輪っかから何か生えたもの。 指輪、にしては太すぎるそれの使用用途を考えているとおにーさんの視線を感じて顔を上げる。 「？」 首を傾げた俺にニンマリ笑いかけたおにーさんは視線をゆっくりと下にずらして、俺の下半身を見て止まる。 「………ふあっ！？い、いらないっ！」 「どっちがいい？」 「やだっ」 「これどっちも使う？」 「ひぃぃぃ」 そんなバカな！ それつけたら多分精液出せないやつだよね？ 俺、ほんとおにーさんに出会うまで普通に生きてきただけだからこういう男の人に使う系のおもちゃには疎いんだよぉお。 「この変な生えてるの、なぁに」 「ローター」 「………」 「こっちは多分、痛いだけ」 「ひぃっ」 「これは痛いと気持ちいいの共存、ってとこかな」 おちんちんにする輪っかは痛くても、そこから生えた所にあるローターのおかげで気持ちいいってこと？ でもそのローターおちんちんに当たったりしないよね？ そんな俺の疑問はバレバレだったのか、おにーさんが会陰開発用と答えてくれる。 「………開発しなくていぃぃ」 「それは嫌」 「………」 「で？どっちにする？」 そうして俺に悪い顔して笑いかけるのは、鬼でも悪魔でもなくて、俺の恋人なんだから俺に逃げ道はなかった。 ＊ ＊ ＊ ＊ ＊ お久しぶりです。 ち　です。 20000いいね♡はBLoveさんでのお話です。 Fjossyさまは色々なリアクションがあって嬉しいのですが、どこを数えるのかに悩むこともあります笑 続きに行く前のワンクッションということで、箸休めにでもなればいいかなと思います。 ツイッターでご覧の方はお話の内容は同じになっております。 また、こちらでしか読んでいない方からしたら一体いつ会陰開発してたの！？って感じかもしれませんが、続いているわけでもないので大丈夫です。 もしも気になる方は、ツイッターから飛べますので(→@ci_3510) クリスマスから続きを更新しはじめる予定です。 よろしくお願いいたします。