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第40話
「そうだ、今日ご飯の買い出しのついでに一回家に行ってくるな」
「何取りに行くの?」ときちんと口の中のモノを飲み込んだ後に話す悠介はやはりいい所の坊ちゃんなのではと思わずにいられない…
「パソコンとカメラをな。まぁ後は着替えか。」
「了解でーす」とまた食べ始める…
食べていても、コーヒーを飲んでるだけでも絵になる…同じ男として悔しい…と心の中で男泣き。
そんな男が俺を抱きたいとか…
やっぱり頭がおかしいとしか言えないよな…
あれは本気なのだろうか…
からかっただけかもしれないしな…
コーヒーを見ながらボーッとしてしまう
「恵??」
目の前に手がヒラヒラと舞うのにハッとした
「ん?どーした?」
「いや、ボーッとしてたからどーしたのかな?って」
「あっ、悪い。何が必要か考えてた…」
考えるのはやめよう…考えても答えは分からないし…
「ふ〜ん」と、じと目で見られてしまった…
俺嘘下手なんだよな…クソッ…
大人になって嘘も上手につけないなんて…
「後どのカメラを持ってこようかな〜なんて…」
「まぁ、良いですけど…聞いても教えてくれないだろうし…恵が出掛けてる間頼まれ事片付けるので気を付けて行って来て下さいね!あっ、お昼は要らないから〜」
「そんなに睨むなよ…有難う。色々片付けたら行くから行く時声掛けるよ」
「有難うごぞいます。ちゃんと声かけて下さいよー」
お互い“頂きました、ご馳走様でした”と締め括り俺は片付けをする。
食べ終わった食器を流し台まで運んでくれる悠介と並び移動し洗い始める
「じゃー俺あっちの部屋にいるんで声かけて下さいねー」
と残りのコーヒーを持ち部屋を出て行く
はぁ〜
俺なんでこんなに馴染んでるんだ…
出て行こうと思えばいくらだって出来るのにそうしないのは自分の意思…
それぐらい分かってる…
でもまだ自分が良く分からない…
ただ無償に今悠介を撮りたい…
盗撮出来ないかな…と変な考えに至る…
許可は出ているし…でも流石にダメか…でも…
悠介は作られた雰囲気より自然のありのままの方を撮りたい
彼から出るオーラのような感情のような…説明出来ない何を俺は切り取りたいから…
そんなことを色々考えている自分に苦笑いを溢し洗い物に集中する…
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