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第42話
洗濯、掃除を終わらせ悠介が居るリビングの隣の部屋へと向かう。
コンコン
…
全く返答が来ない…
勝手に開けて良いのだろうか…
もう1度叩いたら勝手に開けてみよう。
何も言わずに行ったら絶対後からネタネタ言われそうだからな…
コンコン
横に引く扉をスーッと開ける
リビングの隣の部屋。中はだいたい8畳程
桜道側にリビングから続くベランダ、そこにある大きな窓は遮光カーテンが引かれ横の壁側の窓からの光だけ…
少し薄暗い部屋に所狭しと本棚が有りギッシリ詰まった本達。入りきらない本が床に積み上げられている。
ここからじゃ分からないが難しい本から専門誌など…
ベランダの反対側には大きなデスクにデスクトップが数台にモニターも数台。横にはノートパソコンが更に数台。
机の上には英語が他国語で書かれた紙が何枚も有る…
悠介は何者なんだ!?こんな書斎見た事ない…
フリーターって…
モニターのライトで照らされてる横顔は今まで見てきた悠介とは全く違う顔…
思わずカメラを構えて数枚写真を撮る
レンズ越しの悠介は温かみが無くなり冷たく例えるなら氷柱のような鋭利で冷たく、それでいて脆く危ない不安定さが出ている
写真を撮ったのも、俺が居る事も全く気付かず作業を続ける悠介に少しゾッとした…
昨日PCを構ってた時も集中してて俺の存在を気付かず作業してたがここまでではなかった…
俺は少しの間動けずに居たが我にかえり足を動かす
コンコン
机の端を指でノックする
「あっ、恵。ごめん気付かなかった…」
ハッとこちらを向きニコッと笑う悠介…
いつもの悠介だ…
「あぁ、かなり集中してたみたいだな…これから行ってくるから。たまには休憩入れろよ。」
「分かった!恵、行ってらっしゃい」
と微笑まれ手を上げた悠介を見ながら
じゃーと手を上げ部屋を出る。
作業をしている悠介はあまり見たくないと思った…
俺との何かの差に気付きたくない…と現実から目を晒す。
そーやっていつも逃げて来た…
今回も…と考え心がズキッとした。
やめよう。考えるのは…
とりあえず出掛けよう…
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