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第13話

その日、いつものように龍聖と竜臣は下校しようと昇降口に向かっていた。その時、龍聖は後ろから肩を叩かれた。振り返ると、同じクラスの女子生徒が二人立っていた。 「何?」 怪訝な顔を浮かべ二人を見る。 「ちょっといいかな?九條」 龍聖は無意識に竜臣に視線を向ける。 「俺、先帰ってる」 「ああ、悪い」 竜臣の背中を見送ると、龍聖は二人の女子生徒の後ろを付いて行った。連れて行かれたのは、普段人の出入りが少ない視聴覚室だった。 「あのさ、九條って彼女とかいるの?いつも江藤と一緒だからいないと思ってるんだけど……」 ボブヘアの髪を揺らし、佐々木が口を開いた。 「まぁ、いないけど……」 「この子、九條の事好きなんだって。良かったら彼女にしてあげてくれないかな?」 そう言うと、もう一人の女子生徒の背中を押した。名前は確か西沢だか北沢だった気がする。 「西沢だっけ?」 顔を赤くして西沢は頷いた。 見た目は悪くはない。体は小柄な割に胸は大きく、可愛らしい部類に入ると思った。 (可愛いとは思うけど……) もし、竜臣に彼女ができたと言ったらどう思うか、そればかりが頭を過る。 「少し……考えさせてくれないかな?」 「ホント⁈少しは期待してもいいの⁈」 西沢は嬉しそうに目をキラつかせている。 「それは、何とも言えねーけど」 それでも西沢は嬉しいのか、嬉々とした表情浮かべている。そして西沢と携帯の連絡先を交換した。 付き合うかどうかは分からない。龍聖もそういった事に興味がないわけではない。女の子とキスしたりセックスをしてみたいとも思う。 (ファーストキスは竜臣だったからな……) ふとあの時のキスを思い出した。 江藤家に帰ると、いつもある双子の出迎えがなかった。 「ただ今帰りました」 夕飯の準備をしている千夏に声をかける。 「お帰りなさい」 「あの、翼と光は?」 「あら、昨日言ったじゃない。お泊り保育で今日はいないって」 そう言えばそんな事を言っていた気がする。 「そうでしたね」 「お夕飯、もう少し待っててね」 「はい」 部屋に入ると、いつもいる双子の姿がなく部屋が広く感じた。 着替えをし自室を出ると竜臣の部屋のドアをノックした。 「入るぞ」 部屋に入ると竜臣は中途半端に布団を被り、上半身裸で肌を露わにしてベットで寝息を立てていた。 (寝てる……) 起こそうとベットの端に腰を下ろし、竜臣を見た。 (肌白いよな……) 胸の中心の突起が白い肌に映え、無意識に竜臣の肩を撫でていた。 サラリとした肌質なのに、掌に肌が吸い付いていくような感触だった。 「龍聖のエッチ」 竜臣の声にハッとし、慌てて龍聖は手を引っ込めた。竜臣に触れるのに夢中になっていて、目を覚ましている事に気付かなかった。むくりと竜臣は体を起こし、龍聖を射抜くように真っ直ぐ見た。 「わ、悪い……」 「別いいけど?減るもんじゃねーし」 枕元にあるタバコを手にすると一本咥え、火を点けた。 所在なさげに龍聖は竜臣から視線を外す。 「さっき告白でもされた?」 竜臣の言葉に目を上げると、龍聖は竜臣のその目にびくりと肩を揺らした。冷めているような怒りの篭っているような目をしていた。 「あ、ああ……付き合ってほしいって」 「で?付き合うわけ?」 フーッと煙を吐き、竜臣はじっと龍聖を見た。 「いや、考えさせて欲しいって言った」 「ふーん……付き合うかもしれないんだ?」 「それはわからない」 龍聖のその返事に竜臣は荒っぽく灰皿でタバコを消した。 (機嫌悪い……?) 竜臣の纏うオーラが重々しく感じた。 「メシ、食おうぜ」 竜臣はそう言ってベットから降りると、近くにあったTシャツに腕を通し、龍聖を置いて部屋を出て行ってしまった。 「なんなんだよ……」 ガシガシと荒っぽく頭を掻くと、竜臣の後を追い部屋を出た。 食事が終わると、双子がいない静かな部屋でぼうっとテレビを見て少しウトウトとしていたが携帯にメッセージが入る音で目覚ました。 《部屋に来い》 竜臣からだった。 先程の竜臣は少し機嫌が悪く見えた。気になっていたので、そのメッセージに龍聖は少しホッし、部屋を出ると竜臣の部屋をノックした。中に入ると、竜臣はベットに腰掛けていた。 「座れよ」 そう言って自分の横を叩いた。 「おまえって童貞?」 唐突にそんな事を言われた。ギョッとして竜臣を見ると、悪戯を企む子供のような顔をしている。 「そ、そうだけど……」 そもそも中三で非童貞のが少ないだろう、そう龍聖は言いたかったが、竜臣にはそんな言い訳がましい言葉は通用しないような気がして言葉を飲んだ。 「西沢と付き合ったら、セックスするよね」 「さぁな……」 顔が酷く熱い。竜臣の顔が見れず顔を背けた。 不意に竜臣は龍聖の股間に触れた。 「お、おい……!」 咄嗟に竜臣の手を掴んだ。 「俺、嫌だな。おまえが西沢とセックスするの。想像したら凄えムカついてきた」 掴まれていない方の手でファスナーが降ろされ、下着越しに中心を撫でられた。 「や、やめろ……」 「龍聖の勃ってきた」 ゆるゆると撫でられたそこは、段々と硬くなり始めていた。竜臣の白く長い綺麗な指が、龍聖の中心を弄っている。 その視覚が酷く卑猥に見えて龍聖は欲情し始めていた。

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