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第10話

 その痛みと、後ろに与えられる漠然とした快感で頭の中がぼんやりとしてきたとき。 「あ、ああああっ!」  急に圧倒的な質量を持った熱い肉棒が穿たれた。  先ほどまで避けられていた前立腺の膨らみが狙われ、出っ張りでそこをごりごりと擦られた。  強烈な快感に襲われて、視界が明滅する。 「そうだ、直比古。この間仲良くなっていた佐伯くん。彼は志良堂家に相応しくない男だから、縁を切っておくんだよ。連絡先は消しておいたからね」 「あっ、あ、はっ、いぃっ」  兄さんの腰が俺の尻に打ち付けられ、腹の奥まで兄さんで満たされる。  腰の動きに合わせて揺れる南京錠の下で、貞操帯で拘束されたペニスは白い涎を垂らした。 「あと、お前のゼミの山本先生。彼は良くない噂があるから、来週のゼミの飲み会はお断りしておいたよ。学校でも必要以上に近づいては駄目だからね」 「あっ、ん、あ、は、あぁっ」  佐伯くんも山本先生も、いい人だと思っていたのに。やはり俺は阿呆の間抜けだ。 「ご、ごめ、なさ……! も、仲良く、しません……っ」 「うん、わかればいいんだよ、直比古。ベータのお前は騙されやすいんだから、他人を信じてはいけないからね。世の中には悪い人がいっぱいいるんだから。信じていいのは、俺だけだよ」 「は……、いっ、にいさ、兄さんだけ、にいさ……んっ、あぁっ」  愚鈍な俺とは違い、聡明な兄さんはいつも俺に助言をくれる。  俺が最初の弟を手にかけてしまった時だって、兄さんはきちんと俺を正してくれた。  今みたいにお仕置きをして、駄目人間の俺がいい子になれるように。 「もう少ししたら四人目が産まれてノルマが終わるから。その頃には直比古も大学を卒業しているだろうし、また一緒に暮らせるからね。直比古が失敗しないように、俺が見張っていてあげるから」 「あ……、あっ、あ、あ……あああっ!」  兄さんは起き上がって、俺を軽々と持ち上げて太股の上に載せた。自重で兄さんのペニスが俺の腹の奥深くに突き刺さったのと同時に、俺の小さなペニスの先端からは精液とは異なる透明な液体が噴き出した。 「くっ締まる……、ああ、直比古のちっちゃなベータのおちんちんから、おしっこが漏れているよ」 「あ、あ、やぁっ……」  兄さんは俺を持ち上げて落としを繰り返す。しゃばしゃばした水は兄さんに動かされるたびに勝手に溢れ出て、兄さんの股間とベッドをぐっしょりと濡らしてしまった。  小さな子じゃないのに、もう俺は大人なのに、自力でおしっこを止めることはできずに、恥ずかしくて涙が出そうになった。 「あーあ、びしょびしょに濡れてしまったよ。おしっこを我慢できないなんて、恥ずかしい子だね、直比古は。お前におちんちんは必要ないし、今度取ってしまおうか」 「ご……ごめ、ごめんなさ……」  我慢しきれず、涙が零れた。羞恥に目蓋を閉じれば、兄さんの舌が頰に触れて涙を舐め取られた。  目尻に浮かぶ涙も美しい唇に吸い取られる。そしてその唇は、俺の唇に柔らかく触れて離れていき、耳元で官能的な溜息を吐いた。  「――今日は一晩中、お仕置きをしなきゃいけないようだね」  目を開ければ、獰猛な光を宿した兄さんの深い深い闇色の目に吸い込まれそうになった。 「は……あ、ああ、ぃ、いっ、あ、あっ」  それから幾度も体位を変え、深く挿入され揺さぶられ、兄さんの宣言通り、一晩中お仕置きをされた。  無尽蔵の体力を持つアルファの兄さんとは違い、平凡なベータの身体の俺は早々に意識を飛ばし、途中何度か覚醒するも、その度に兄さんに深いところを突かれて絶頂し、眠りの浅い夜のように夢うつつの状態で抱かれ続けた。  兄さんは、流石の俺も疲れた、とベッドに沈み、互いの汗と唾液と精液で汚れた俺の身体を抱きしめ、まだほんのりと硬さのあるペニスを俺の後孔に挿入したまま、温かい手で俺の腹を撫でた。  そして、その兄さんの大量の白濁で膨れたような気さえする重たい腹に向かって、白み始めた窓の外で囀る鳥たちに負けないほどの軽やかな声を掛けた。 「次の(オメガ)はどんな死に方をするんだろうね」  まるで、俺がまた殺すと決まっているかのように、兄さんはまだ見ぬ弟の未来を断定した。  そして俺は、また訪れるであろう『お仕置きの時間』を想像して、腹の中を疼かせたのだった。  まどろみながら、首筋を甘噛みする兄さんの歯の感触を胸に刻み、俺の意識は再び後孔の中で硬度を増した兄さんのペニスを感じたところで途切れた。  幸せな夢の中に、兄さんの願いが届く。 「俺の弟はお前だけだよ、直比古。だから、ずっと悪い子でいてね」  この家族は狂っている。  終

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