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プロローグ

――どこで間違えたのだろう?  フッと目が覚めた。  スマホを壊されたから、今何時か分からない。  窓には遮光カーテンが引かれているが、真っ暗ではないから、朝か昼か――  最初の頃は慌てていたが、もう慣れてしまった。  どうせ、俺に自由は与えられない。それならもう、全てがどうでもいい。  ベッドから起き上がる気力も無く、ただただぼんやりしていると、ただ一つの出入口であるドアが開いた。 「おはよう、兄さん」  ネットリと(まと)わり付くような弟の声。  部屋に入って来た弟――隆明(たかあき)は、俺の口を唇で塞ぎ、無遠慮に舌を差し込んでくる。チュプクチュと濃厚なキスをしながら、隆明の手が俺の脇腹を撫で(さす)った。  裸のままだから、肌を直に触られてくすぐったい。けど、手をベッドヘッドに拘束されているから、突き放す事もできない。  隆明が満足するまでキスと愛撫を受け、俺は言葉を発した。 「……トイレ」  短い呟きに頷いた隆明が、俺の手枷(てかせ)に繋がる鎖を外し、上体を引き起こしてくれる。  そして隆明は、いつものようにベッドの下から、ガラスの尿瓶を取り出す。 「はい、どうぞ」  足の間に尿瓶を置いた隆明が、背後に陣取って俺のモノを擦り、排尿を促してくる。 「ン、ふ……あぁ……」  とっくに抵抗を諦めた俺は、我慢する事もなく、尿瓶にオシッコをした。  別に病人という訳じゃない。ただ隆明は、どうしても俺をベッドから出したくないらしい。  出す物を出し終えると、隆明はまた、俺をベッドに押し倒して手枷を繋いだ。  それから嫌な顔もせずに尿瓶を片付け、俺のモノと自分の手をウェットティッシュで拭く。  全てを終えた隆明は、俺を見下ろしてニタリと笑った。 「さぁ、子作りの時間だ」

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