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最終話

「ねぇ、篠宮さん遂に番を持ったんだって!」 「えぇ!?いつ?誰と!?」 「さぁ…。詳しいことはまだ…ただ、高校時代から付き合ってる人だって話よ。」 「そうなの?それなら私相手の人知ってるわ!1度番になったって噂が出てた人だもの!」 「本当?どんな人なの?」 「そうねぇ…。線の細くて大人しそうな…でも悪いけどどこにでもいるようなパッとしない人に見えたわ。私が入学した時には2人共3年生だったんだけど、その頃にはもう常に篠宮さんの隣にいたわね。」 「何よそれー。なんでそんな人が選ばれるの?」 「そうよねぇ。当然周りも良い気はしなくて当初は酷い嫌がらせも受けたみたい。」 「へぇ、どんな?」 「動物の死骸をロッカーに入れられたり、無理矢理乱交パーティに参加させられたり…。あぁしかもそのパーティっていうのが錯乱した‪α‬が殺傷事件を起こした後自殺したり、妊娠する生徒が出たりって酷いものだったらしいわ。篠宮さんが助け出したから彼は事なきを得たみたいだったけど…。この事件は内々に収められてたみたいで私も入学するまでは知らなかったんだけどね。」 「そう…怖いわね…。でも当時からそんなに仲睦まじい雰囲気だったのになんで番になるのがこんなに遅れたの?」 「ごめんなさい。そこも詳しいことはあまり分からないわ。ただ、付き合ってるって話が明るみになった当初、彼は篠宮さんと番になりたくない様子だったって話を聞いたことがあるわね。」 「あれだけ人気のある人だもんね。実際そんな酷い嫌がらせを受けたのであれば慎重になるのは当然よね…。」 「それを当時から篠宮さんが猛アプローチされて、周りを気にする彼と漸く学園内でも一緒に歩けるようになったって話だったわ!」 「何それ!王子様からの猛アプローチなんて羨ましい…!」 「憧れるわよねー。なんでも篠宮さんは頻繁に"彼が運命の人だ"って言ってたんですって!」 「"運命"って本当にあるのね。」 「本当、羨ましいわー。」 「はぁー。私にも早く篠宮さんのような運命の人が現れないかしら。」 end

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