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 部屋には甘い香りが広がる。  恋人同士のように、指を絡ませ、何度もキスをしてお互い、触れ合う。 「…………我慢できない。 兄さん。もう、挿れていい……?」  欲に濡れた瞳。つい、この前までただの義理の弟だったのに、今は俺を組み敷き、男の目をしてる。 「いいよ。奥まで犯して」  わざと甘える声を出して、お前を煽る。  α(アルファ)Ω(オメガ)。発情期以外では交わる時に一番フェロモンが強くなると言う。  きっと誰も知らない お互いの甘い香り。 「キツ…… 兄さん、痛くない?大丈夫?」 「は、はぁ……だい、じょ……ぶ」  頬を撫でられ、愛しそうな目で見られ、キスを受ける。まるで、壊れ物を扱うように、優しく揺さぶられた。そんなに優しくする必要ないのに……  …………俺達の間には何もないんだから。 「あ、アッ。んん……」  痛くても苦しくても、絶対に顔には出さない。お前を騙す為なら、この位の苦痛、耐えてやる。 「……………気持ちい、い」 「兄さん。可愛い……」  囁くように伊織(いおり)が繰り返す。  復讐の為に開いた体。結んだ歪な関係。 「伊織が好き……」  息を吐くように嘘をつく。  一緒に落ちてくれ。  ━━━━俺の復讐のために。

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