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(みき)くん。今日からよろしくね」  悪びれもなく、義理の母が笑った。  17歳の冬、両親は離婚。母は精神を病み、父にソックリだった俺の養育権を拒否。俺は否応なく、父に引き取られ、姉と妹、おまけに可愛がってた飼い犬とも別に暮らす事となった。悔しいけど、高3。一人暮らしは認めてもらえなかった。  原因は父の不倫。浮気相手と本物になるべく、いとも簡単に家族を切り捨てる。その後、浮気相手は我が物顔で家に入り浸り、『男所帯だから大変でしょう』と恩着せがましく、食事を度々、作りに上がり込んできた。  離婚後、たった半年で再婚し、近所でもヒソヒソ、噂話されてる。恋は盲目?いや。世間体とか一切考えてない。 「息子の伊織よ」  相手には一人息子がいた。俺の一学年下。素直で真っ直ぐで父にも懐いてる。……というより、何処からどう見ても普通の親子に見えた。  コンコン。ドアをノックする音。 「どうぞ」、答えるとドアが開いた。訪れてきたのは伊織だった。 「子供の時から、兄さんの話は聞いてて、一緒に暮らせる日を楽しみにしてたんだ」  『子供の時』?、『楽しみにしてた』。引っかかる言葉に顔を上げる。 「……………いつから、俺の存在を知ってた?」  悟られないよう、笑顔で話した。 「小5の時。お父さんから聞いた。 俺の父は病気で小さい頃に亡くなってたから、お父さんが遊園地や映画、野球、色々連れてってくれたんだ」  この言い方。母親が不倫したせいでうちの家庭が崩壊したとは聞かされてないのか……?しかも、すでに『お父さん』って、呼んでるのかよ。小5から……俺が中学上がる前から、ずっと不倫してたわけか。  『遊園地や映画、野球』、そんなの、俺は連れて行ってもらったことない。父は週末、いつも『仕事』で家にいなかった。あぁ、そうか。そういうことか……  うっかり聞いた話により、父と義母は思っていたより、ずっと前から不倫してたという事実が発覚した。しかも、伊織とも子供の頃から家族として過ごしてたらしく、それを悪びれもなく話すソイツに無性に腹が立つ。  俺はずっと機会を伺っていた。  

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