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第0.5話 ひとりでいいこ
「んんっ、はぁっんんぅぁぁ!しん、や、さんっ、きもちっ」
2LDKのマンションに、悩ましく甘ったるい声が響く。
留守番をしていた咲夜はさっきまでひとりで我慢をしていたのだ。
そう、途中までは上手くいっていた。
大人しく家で宿題をこなし、お風呂の掃除をして、棚の埃をはたいてみたりした。
咲夜は、”いいこ”にしていたのだ。
それも、番が帰ってくる1時間前までのことだった。
時計の針の位置を確認し、もうすぐだと思った瞬間に体がぼぉっと熱く火照っていった。
僅かに硬さを持ち始めた自分の下半身に目をやり、うーっと唸る。
こんなはずじゃなかった。
いいこに待っていなくちゃいけないのに。
そこから咲夜は着用済みの伸弥の服を集め始めた。洗濯籠に入った下着や肌着にはまだ香りが残っていて頭をぼーっとさせた。それでも足りなくなってクリーニング用に積まれていたスーツやシャツも集めてきた。
それをベッドにまとめて山を作ると、咲夜はその上に腰を下ろした。そこまでは、これと言って問題ではなかったはずだ。
「んーっ!ゃんっ、かえってきちゃうっ、はやくしないとぉっ!」
掛け布団の下に身体を隠し、自分の体の中心を弄る咲夜は急いでいた。
上下に擦ると気持ちよくてしょうがないのだ。伸弥の男らしくて大きい指が自分の性器を包む様子を頭に浮かべると体が疼いた。
「もっとほしいのっ、んっ!」
どんなに頑張っても大好きな人が与えてくれる快感は味わえない。
角度を変えても、強弱を変えても何かが違う。
「もっ、や、だぁっ!」
真っ白なシーツにシミが広がり、幼い指の間から愛液が垂れ流れる。
寝室に広がるのは咲夜の甘い香りだった。
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