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第1話
「せ、先生、明日からよろしくお願いします」
「はは、そんな緊張しないで? 渕崎くんはかわいいからみんなから可愛がられるわよ。きっと」
「え、あ……僕そういう趣味ないんで」
あ……そういう趣味って言う必要なかったかな?
外しちゃったかな?
「あははは、そういう趣味って大胆ね。まるでそういう趣味を持ってるみたいじゃない。いい? 高校生っていっても、まだ大人じゃないんだからちゃんと寮に帰るのよ? 貴方は夜遊びするタイプの子じゃないわ……ね? ってどうしたの?」
目を奪われた。
綺麗な黒髪を遊ばせながら、職員室に入ってきた男の子に。
見れば見る程に良い顔つき。口元は涼やか。眼鏡がよく似合っていて笑ったらきっと美人だ。でもいかにも遊び人そうな感じだけど、
(ドキドキいってる。なんだろう。胸がズキュンって。見てるとトキメク)
綺麗な風貌に目を奪われて視線の先を先生に悟られる。
「ああ、彼? 綺麗でしょ。でも惚れちゃだめよ? って、男の子が男の子に惚れる訳ないわね。でもお世辞にも彼と貴方は性格が合わなさそう。純情そうだもの貴方」
「あ……」
髪の長い綺麗な男の子と視線があった。
ドキドキ。
その時間(とき)が一瞬だったとは……まるで長い時間見つめ合っていたかのような感覚に陥る。
見つめ合った視線が絡み合って、これからの未来に何かがありそうな予感がした。
運命に巻き込まれるなんて、その時僕は知らなかった。
あの綺麗な男の子はきっと微笑んだら天使のような微笑みなのではないかと思った。
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