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俺の最強ワンコ 13 【終】

そして駆け寄ってきた津田は「待たせてしまってすいません」と言いながら袋に入った本を鞄に閉まった。 「なぁ、お前はさ。俺がプレゼントって言って参考書渡したらかわいいと思うか?」 「先輩にもらったのもなら何でも嬉しいし、一生懸命俺のこと考えてくれたんだろうな~って思ったら可愛いって思うかもしれません」 「そういうもんか?」 「参考書買うんですか?」 「ううん。買わない」 なんだかんだ言って羽山も好きな人に貰ったものだから嬉しいし、他人が見たら変なプレゼントでも可愛いとか感じてしまうんだろうな。 結局、あばたもえくぼとか、恋は盲目とか……そういうことじゃん。 でも、そういう関係っていいなって思った。 俺と津田も5年後とか10年後ってどうしているんだろう。 出会ったころなら、すぐにでも自分の目の前から消えてほしいとすら思っていたというのに、今はいなくなるとか考えられなくなっている。 凄く不思議だけど津田の隣とか、腕の中とかがしっくりくる自分がいる。 すると、胸の真ん中がカァーッと熱くなった気がした。 「先輩?」 店を出て黙ったままの俺の顔を不思議そうに覗き込む津田の手を引っ張り、路地裏に引きずり込んでキスをした。 チュっとリップ音を立てて触れただけのキスだったけど、津田は一気に顔を赤らめて案の定焦りだす。 「せ、せ、せ、先輩、まだ家に帰ってませんよ!!」 そんなことわかってるつーの。 でも、キスしたくなったんだからしょうがないじゃん。 そのまま津田の唇を指でなぞり抱きつこうとしたら、今度は体ごと押し返された。 「だから、外なんですってばっ!」 なんか一人でテンパってるのが可笑しくてクスクス笑っていると、なぜ笑われているかわかってない津田はおとなしく待てをしている。 「帰ろうか」 すると大きく頷いてまた俺の後ろをついてきた。 こいつはどれだけ、俺を気分よくさせてくれるのか。もはや、才能だな。 可愛くてたまらなくて、恋しくて愛しくて初めて自分の居場所を見つけられた気がした。 「先輩って時々大胆になりますよね」 「そんな俺は嫌いになるか?」 わざとそんなことを聞いてみて。 「もっと好きになっちゃいます。焦るけど」 そういう言葉が聞きたくて。 「俺もダツが好き」 素直に好きって言えることがこんなにも気持ちいものだなんて、お前に出会って初めてわかることができた。 「さて、帰ったら何する?」 「先輩はキャラのレベル上げするんでしょう?」 「それもする。あと、お前とイチャイチャもする。親たちいるから挿れるのはナシな」 「…………だから、大胆すぎるんですってば」 赤い顔して俺の後ろをついてくる津田に満足して家へと急いだ。 実際は、お前と一緒にいられるだけで最高に幸せなんだ。 同じ空気を吸えるだけで嬉しくて、お前といるだけで癒されてるなんて、お前は気付いているか? 「ずーっと俺のこと、好きでいろよな」 「はいっ!!」 振り向いて伝えると尻尾をパタパタ振るように俺に擦り寄って、何の迷いもなく返事をする姿にまた心が軽くなる。 やっぱコイツに勝る奴なんでどこにも居ない。 俺に一途でワンコな年下の男。俺の最強の彼氏。 でも、そんなお前にまだ言ってないことがあるんだ。 言っても言わなくても、どっちでも良いことだけど。 俺も一途で尽くす方だってこと。 お前にだけは俺の“好き”を全部やろうと思ってる。まだ内緒だけどな。 津田の嬉しそうな顔を想像してホクホクした俺は、津田の手をギュッと握ってみた。 その手はいつも温かい。 そして、決して離さない。 5年後も10年後も、変わらず2人で笑っていたいな。 最強ワンコ彼氏。= 終 =

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