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最強小悪魔彼氏。 1
いつものように昼休みに購買でパンを買って、先輩の教室へと向かった。
「先輩! パン買ってきました」
「何だよ、ダツ! 頼んでないだろ!」
やはり男同士が付き合っていることが周りにバレてはいけないからってことで、先輩はみんながいる場所では今まで通り俺のことを“ダツ”と呼んでくれている。
「まぁまぁ、そんなこと言うと津田っちがかわいそうだろ?」
先輩の友達の朝倉さんはこうやっていつも仲介に入ってくれるのだが、先輩と俺はラブラブなのでご心配なくと心の中で告げた。
「勿体ないから食うだけだからな」
「はい」
笑顔で返事をすると、先輩が「行くぞ」と言ってこの間見つけた昼飯スポットに向かった。
その場所というのは理科室とかが入っている棟の屋上で、偶然に見つけた穴場。
昼休みはほとんど人が来ることないので、そこの入り口付近で食べるのが日課になっていた。
そして、この場所に来ると先輩はまた違った表情を見せてくれる。
べたべたするのが意外にも好きだと気付いた先輩は、2人きりになると俺の手をにぎにぎと握りながらパンを頬張る。
「先輩?」
「ん?」
さっきまで不機嫌そうにしていた表情が一瞬にして変わり、最初はあまりの可愛さに勃つかと思ったくらいだ。
「先輩って手を繋いだりするの好きなんですね」
「うん。そうみたい」
いまだに自分でも未知数の新しい自分を発見し続けている先輩に手をにぎにぎされながらコーヒー牛乳を飲んで幸せを満喫していると、先輩が俺の顔を覗き込んできた。
「なぁ、今日部活休みじゃん。どっか行くか?」
今日は月に2回ある部活のない日だった。
いつもはお互いに部活があるので、先輩の部活が終わったら俺が自主練している弓道場まで来てくれて、近くの公園で話をしたり俺が先輩の家の近くまで送っていったりしてるけど。
今日みたいな部活がない木曜日は長く先輩といれるチャンスなんだ。
「あの、今日……うちの母親、パートで遅くなるって」
すると途端にまた先輩が纏う空気感が変わる。
何て言うかピンク色に。
そして、ぎゅっと俺に抱きついて耳元で囁くように言った。
「じゃあ、イチャイチャできるな」
囁くとか、もう勃ちそうなんですけど!
若干前屈みになりそうなのをなんとか抑えた俺に、更に先輩がギュッと抱きついてきて耳元で呟いた。
「ダツー。好きだからな」
「お、俺はもっと大好きです!!」
付き合っているだけでも幸せなのに、先輩も俺のことが好きだって言ってくれる。
そんな先輩が俺にしか見せない顔をするときすごく幸せなんだ。
でも、こんなんで俺。……放課後まで持つだろうか。
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