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第1話

「ねぇ、今日も部長、すっっごくかっこいい〜」 「目の保養〜」 「オフィスにいるだけで幸せ〜」 始業前のちょっとした時間。 今日も、話好きの若い女の子たちがキャーキャー騒いでる。 視線の先には、わが営業部を誇る部長… っていうかこれ、部長に聞こえてるだろ。 ちらりと部長の顔を見るが、何食わぬ顔で朝から事務処理をこなしている。 部長なんて肩書きなのに、部長は若干30歳の若手だ。 そもそも、うちの会社の営業は若手で構成されるようにはなっているものの、部長にしては若すぎる気がする。 それでも、彼の功績を考えれば、納得せざるを得ない。 部長だけで、うちのクライアントの何割を持ち、売上の何割を担っているのか… 俺は入社してまだ2年目のペーぺーだけど、俺より後に部長が出社したことはないし、俺より先に退社したことがない。 俺が30歳であんなに会社に縛られてたら、普通に辞職してると思う。 えらいな、部長… 「おい」 「…、おい!」 部長が誰かに話しかけてる。 珍しいなぁ… 「おい、お前だ、前沢」 「えっ!?へっ!?お、ぼ、僕ですか!?」 「はぁ…、さっきからお前に声をかけている」 ま、まさか俺に話しかけてるとは思わなくて、背筋がピーンっとなった。 結構シカトしてたよな、俺… こ、こえぇ… うちの営業部長は、「鬼部長」としても有名である。 .

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