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第3話

彼の手をとり、店のトイレに向かう。 「あ、あの…ッ」 彼は驚いた様子で僕に話しかける。 それには答えず、僕は彼をトイレの個室へ放り込む。 「…ねえ、そんなに僕が気になる?」 「へ…」 「いつも見ていたでしょ?僕のこと」 「…」 彼は顔を赤らめて何も喋らない。 あんなにネットリとした視線を送るくせに… 僕は、また自分の乾いた唇を舐めた。 そして彼にキスをした。 「ん…ッ」 ふっくらとした唇の感触。もちろん触れるだけのキスなら、いらない。 「ねえ、口を開けて」 一旦口を離し、もう一度キスをする。 彼はおずおずと口を開いた。そこに僕はすぐさま、舌を入れる。 「う、んんッ」 舌で口内を(なぶ)る。僕の舌に、遅れて彼の舌が絡んできた。 絡みついた舌の感触にゾクリとする。 彼の目が、トロンとして僕を映し出す。 チュクチュクと淫らな音が響く。 口を離すと、もう僕らは止まらなかった。 何度も何度も、舌を絡めて。 これから始まる行為の予感に頭も身体も痺れて、疼いてたまらない。 喘ぐ彼の口に、僕は舌を入れる、 「ん、はアッ…」 彼は強く僕を抱き締めた。 もう豊のアクセサリーは卒業だ。 彼は完全に僕に(はま)って。 そして僕も彼に完全に嵌ってしまったから。 【了】

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