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第2話

 修学旅行前夜、計画を実行する。  俺は担任の先生へ父親を装い体調不良を起こしたと連絡を入れた。  10月は体調を崩す生徒が多いからか、以外にもあっさりと信じてもらえた。  修学旅行当日は、制服を着て家を出る。カバンの中には、家に置いてある兄の家の合鍵と新幹線の切符を入れた。  近所の公衆トイレで制服を脱いで、バスに乗って新幹線の出ている駅へ向かう。  新幹線で2時間揺られ、大きな駅へ到着した。兄の家はここから在来線を乗り継いで行く。  もう少しで兄に会えると思うと足取りが軽い。  兄の通う大学の最寄り駅から、兄の住む学生向けアパートは思っていたよりも近かった。  学生向けアパートはオートロックが無いのですぐに家の前まで行ける。ついに兄の家の前にきた。  もしかすると兄は家にいるかもしれない。念のため、カメラの部分は手で覆いインターホンを鳴らす。  誰も出てこない。玄関ポストを開けて中の音を聞くが、人の気配もしない。  合鍵を鍵穴に差し込んで回すと、ガチャリと音を立てて鍵が開く。  ゆっくりと玄関ドアを開けると、玄関から懐かしい兄のにおいがした。  兄の家の玄関には、見覚えのあるスニーカーとサンダルがある。家で使っていたものだ。  ビニール袋に自分の靴を入れて部屋の中に入る。  部屋の手前にあった風呂場に寄り道をする。脱衣所の床には洗濯物が落ちていた。  見覚えのない兄の服や下着。それを拾って鼻先へもっていく。  強く香る懐かしい兄のにおいにクラクラする。  我慢できず、俺はズボンと先走りで濡れた下着を脱いで自分自身をやんわりと掴み、扱き上げる。 「かずき兄ちゃん……」  兄を感じながらのオナニーは久しぶりだ。 「好き、大好き……はぁ、う……っ!」  精液を手で受け止める虚しさは家と変わらないのに、ここに兄がいるという事実が俺を興奮させる。  洗面台で手を洗って持ってきているタオルで水滴を拭き取り、兄のパンツを元の位置に戻す。  いよいよ入るのは兄の部屋だ。  部屋の中は妙に甘ったるい匂いがした。兄のにおいではない。  そのにおいが気になるが、まずは先ほどのインターホンの画像を消して部屋の中を見渡す。  少し派手な柄のラグが敷かれた部屋の奥に、ベッドとゴミ箱があった。  前はどこか健康志向の間食が多かったのに、ゴミ箱には普通のお菓子のゴミが入っている。  もう少し奥を探すと、丸められたティッシュがあった。  それを、プレゼントの包装紙のように大事に開いていくのだが、俺はぞっとした。  ティッシュの中は、今まで見ていた兄の乾いた精液ではなかった。  ピンク色の、使用済みのコンドーム。  この気持ちは相手への嫉妬か憎悪か。いったい兄は、誰としたんだろう。  でもこの中には紛れもない、兄の精液が入っている。そう思うと、胸が高鳴った。  乾燥していない兄の精液。  縛ってあるゴム口をほどこうとするが、固くてほどけない。  仕方がないので、持ってきていたカッターナイフでゴムの縛り口の部分を切って開ける。  ゴムの臭いに混じって、兄の精液のにおいが漂う。  中に指を入れて、兄の精液を舐める。 「おいしい」  中の精液を持ってきていたチャック付きの袋にとろりと出す。  もう出してしばらく経ったからだろう。兄の精液はさらさらになっている。  空っぽになったコンドームをゆっくり自分のそれに被せる。  ひやりとする兄の精液が俺のそれに絡みつき、コンドーム越しに扱く。  久しぶりの、兄とのセックスだ。  そのコンドームに精液を出す。  捨ててしまうのはもったいなくて、コンドームの上を縛って、またチャック付きの袋に入れる。  時計を見るともう夕方になっていた。  兄は何時に帰ってくるのだろうか。仕方がないので、俺はベッドの下にもぐりこみ、兄の帰りを待つことにした。

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