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 葉月と霜月が当主を務める(いま)(むら)家本家の屋敷は、(おか)の上の平らな土地に、川沿いの集落全体を見下ろすように建っている。  この辺り一帯の土地は全て、先祖代々今邑家のものである。  集落の者は皆、今邑家から田畑を借り、細々と日々を営んでいる。  一生今邑家に支配される運命を背負った閉鎖的な集落において、あずさは、今邑家分家の跡取り息子として(せい)()けた。だが分家と言っても名ばかりで、その実態は本家の奴隷である。  両親を数年前に流行(はや)り病で亡くして以来、幼い弟達とわずかな使用人達を守ることが、あずさの人生の全てになった。なので本家から「弟達を奉公人として()()すか、あずさ自身が出向くか」と迫られては、我が身を差し出す以外の選択肢がなかったのだ。  葉月と霜月はあずさより一つ二つ歳下である。  幼い頃初めて本家に挨拶に上がって以来、あずさの女のような美しさに下心を抱き、何かにつけて呼び出しては、()()た視線と言動であずさを(なぶ)っていた。  先代当主である彼らの父は、あずさの両親と同じく流行り病に(たお)()(せき)に入った。  母親は既におらず、冷酷な二人にとって、父親の死はむしろ好都合だったらしい。当主を継ぐやいなや、あずさを囲い者にするという先述の命令がもたらされたのである。  本家の屋敷に奉公人として迎えられてから、季節が(ひと)(めぐ)りした。  その間、あずさは屋敷の塀の内から一歩も外に出してもらえていない。  昼は()(じょ)と共に家事働きをし、夜はこうして、兄弟の()(とぎ)の相手をさせられている。 「あふっ、あ、はっ、はあ……」  剛直が天を突くほどになった頃、ようやく霜月が唾液まみれの自身をあずさの口から引き抜いた。  だるい顎でぜえぜえと荒い息をつく。もちろんこれで終わりであるはずがなく、尻を向けるようすぐに指示が飛ぶ。 「ひゃんっ!」  (すそ)をまくられ、霜月の骨張った指が(しり)(あな)に予告もなく突っ込まれた。  一本が二本に、やがて三本揃えて柔らかな()(にく)をかき回す指が、ぬちぬちと湿った音を立てる。  あずさのために兄弟が用意した油には、掻痒感を誘う混ぜ物がしてあった。ナカが濡らされていくにつれ、異物感の気持ち悪さは遠ざかり、ムズムズする(うず)きが腰を支配していく。 「んっ、あっ、いやぁあんっ……」  木目に爪を立て、真っ赤な頬を押しつけて耐えるあずさの声が甘く(とろ)ける。  小刻みに肉壁をこすられるのが堪らなく気持ちいい。(そう)(よう)感を快感に錯覚しているだけだと解っていても、高く突きだした尻の媚肉は男の指をきゅうきゅう食い締め、更なる刺激を求めてしまう。 「どうされたい? 言えよ」  わざと浅いところまで指を引いた霜月が、意地の悪い声で言う。  空洞となった奥がヒクヒク切なげに(うごめ)いて、あずさは(たま)らず叫んだ。 「こ、こすって、ください……もっと太いので、はやくぅ……!」 「ハッ! すっかりメスになりやがって!」  急に指が引き抜かれる。  喪失感にひくついた(すぼ)まりへ、霜月はすぐさま(きつ)(りつ)した男根をあてがい、そのまま一気に押し入った。

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