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 夜通し、徹底的に攻め(さいな)まれるのはいつものことだった。  再び猛った霜月に犯され、その後葉月に(また)がせられて、卑猥な言葉を強いられながら腰を踊らせた。  疲労困憊の体を引きずり、自室に戻ったのは空が白み始める頃だった。崩れ落ちるように眠ったものの、明けの鳥の鳴き声と共に起床し、下女に混じって朝食の用意に取りかかる。 「お疲れでいらっしゃるなら、少し休まれてはいかがですか?」  配膳の用意をしながら声をかけてきたのは、下女達を取り仕切っている(こと)()である。  あずさの亡き母親と同年代で、家に夫と子供を残してきているという彼女は、そのせいか日頃からあずさの境遇に同情的で、何かと気にかけてくれている。  だがそんな、母のような彼女だからこそ心配をかけたくはないと、あずさはだるい体を偽って「大丈夫ですよ」と笑顔を向ける。「お疲れ」の意味を知られているからこそ、尚更に。 「きちんと務めを果たさねば、家で待っていてくれる弟達に示しがつきません」 「……弟さん達、おいくつでいらっしゃいましたか?」 「上が十で、下がその一つ下です。まだ世間を知らない幼い子達ですから、私が兄として……親代わりとして、手本になれればと思っています」  琴音は何か言いたげだったが、あずさが殊更明るく作業を再開したので、それ以上は何も言わなかった。

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