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第41話
眼鏡を押しあげた。ひらりひらりと振り動かされる手は催眠術師のそれのようで、眩惑される。
即ち魔が差した──。
頑なな態度が軟化する兆候が現れたことを察知して、くいくい、と親指が動く。
透明な糸でたぐり寄せられるように、足が独りでに動きだす。ダイニングチェアと向かい合って立つと、後頭部に手が添えられた。
ためらいがちに顔をうつむけるのを待って、よくできました、というふうに唇をついばまれる。
好かれていると信じたい、信じようと決めたのだ。
不安がつのるそばから、それを打ち消して唇の結び目をほどく。
人それぞれ流儀があって妥協点を見いだすことが、ふたりの歴史を作ることにつながるのかもしれない。そう考えるとキスが深まる。
くちづける角度を変える合間に、猫なで声が唇のあわいをたゆたう。
「やってくれるな」
割り切れないものはあったが、強いてねじ伏せる。三枝は、ゆるゆると膝を折った。
もっとも、すでにいきり立っているものを目の当たりにすると怖じ気づく。
眼鏡を外した。恐る恐る顔を伏せていくにつれて、石鹸の残り香がくゆり立つ。
蒸し暑い季節柄、単に汗を流してから訪ねてきたのか。
それとも部屋に通されるなりセックスになだれ込めるように──つまり時間を節約する思惑があってシャワーを浴びてきたのか。
うがちすぎだ、と自嘲気味に嗤う。屹立を両手で支えて、頂 に唇をかぶせた。
ただし、ブランクがあるせいで、ぎこちない。先端を食むと、その独特の弾力性におののく。
もともと口淫は不得手だ。思わず歯列を鎖すと、サオがずるりとすべって鼻の穴をふさぎ、いきおい口許がゆるむ。
すかさず、こじ入ってくる。喉を突かれて嘔吐 き、
「……ぅう、ん、ぐっ!」
ペニスを吐き出そうとしたが、腰を突きあげてこられて果たせない。
「ちんたらするな。サービス問題から解答欄を埋めていって点数を稼ぐのが試験のセオリーだ。あれの応用で裏筋を重点的に舐める」
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