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第43話

 うろたえて、うつむいた。  ほんの少し触れられた程度のことで勃ってしまうなんて、欲求不満の塊のようだ。  それより口淫が好きなのだ、と誤解されては困る。  厄介な課題を片づけるように早く終わらせたい。その一心で、ひたすらしゃぶりたてる。  尖らせた舌で鈴口をこそいでみたりもする。  と、前髪を鷲摑みに仰のかされた。  武内の形を映して、いびつに膨らんだ頬を指が這い回ると、自分が何を銜えているのか、改めて意識せずにはいられない。  くやしさと羞じらいをない交ぜに目縁が赤らみ、できるだけ後ろにずれる。それでいて鋭い視線をそそがれると、腰が勝手にもぞつく。 「Mっ気があると睨んだとおり、やっぱりな」  脚の付け根にあてがわれた足の裏全体が、小刻みにスライドする。  ペニスがひしゃげて、そのくせ下着が湿り気を帯びる。 「三枝、おまえは好きなんだよ。辱められるのが大好きなんだ」  言下に、きっぱりと首を横に振った。ついでに口をもぎ離してしまえばよいものの、意地になって舌を怒張に巻きつけるありさまだ。  おまけにペニスの輪郭を写し取るふうに土踏まずが蠢くたびに、ぐじゅり、と淫靡な水音がくぐもるのは、なぜ?  ジレンマに陥るのとは裏腹に、舌づかいのほうは上達いちじるしい。  頭上で呻き声が洩れた。いいかげん顎がだるいが、もうひと踏ん張り、と裏筋を吸いしだく。

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