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第109話

「据え膳食わぬは……なんだっけ? 意味も含めて教えてもらおうか。国語の先生なら楽勝だな」 「男の恥、です。つまり女性……この場合はおれから、その、セックスしようと誘ってるわけですから応じないのは恥ずかしい、と」  言質(げんち)をとった、というふうに眉があがった。ベッドへと押しやられて、もつれ合って横になる。  覆いかぶさってこられると、退路を断たれたように感じた。だが言い出しっぺである以上、尻込みしてはいられない。  たくましい躰の下から這い出して、逆に馬乗りになった。先を争って互いのスラックスを乱す合間に、くちづけを交わす。  乳首をひねりつぶされて呻き、あやすようについばまれて甘い吐息を洩らす。  鳩尾の線に沿ってずり下がっていき、お返しにみなぎりつつある雄を食む。  スラックスとひとまとめに下着がはぎ取られた。ろくにさわられてもいないうちから湿り気を帯びた箇所をつままれると、恥ずかしさもひとしおだ。 「もう、びちょびちょか。俺に可愛がってもらうのが楽しみでオナ禁でもしてたのか」 「中間試験の準備で忙しくて、そんな気になれなかっただけ……っ、く……!」  荒っぽくしごかれて、蜜がこぼれた。  上になり、下になりながら、口と手で高め合う。とりわけ武内のそれは、彼曰く「おあずけ」を食らっていた期間が長かったぶんも(へそ)を叩く。  苦手な教科こそ学習意欲が薄れる前に取りかかるのが、攻略への近道だ。原理的には同じとばかりに、うつ伏せて腰をあげるよう促された。  三枝はぎくしゃくと従い、そろそろと足を開いた。ローションのキャップをひねる音にすくみあがり、ぐるりに塗り込められるにつれて腰が逃げる。  なだめるようなキスが、波打つ背中に落ちた。閉じがちな蕾がほころぶ瞬間を狙って、ギャザーがひとひら解き伸ばされた。 「ちゃんとほぐせば痛くない」 「は……は、い」

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