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第111話

 ずいぶん時間がかかったようでもあるし、一瞬の出来事だったような気もする。  陽根はドリルと化したように、行く手を阻む肉の環をかき分けながら突き進む。  やがて、すべてが収まった証しに(こわ)い毛が入口を掃く。  これで絆が深まった、おれは取り返しがつかないことをした。  相反する思いにオーバーフローを起こして、ふっと意識が遠のく。へなへなと(くずお)れかけても、怒張を軸に深々とつなぎとめられている。 「うご、動かないでぇ……っ!」  ただでさえ腹がはち切れそうなのに、うがつ角度に微調整がほどこされると、切っ先が口から飛び出すようだ。 「ちゃんと挿入(はい)るし、気持ちよくなれる。食わず嫌いは損だと、わかっただろう」    よくがんばった、と褒めるふうにツムジをついばまれた。いくぶん強ばりが解けると〝武内の形〟に合わせて内壁が収縮する。  じんじんと秘腔全体が疼く反面、痛みの底に未知の感覚がひそんでいる。神経を研ぎ澄ましてその正体を見極めようとしたのもつかの間、 「さわって確かめてみるのも勉強だ」  右手を無理やり後ろへと持っていかれた。あまつさえ拳を握って抗うなかから小指が引きはがされて、押しつけられる。  皺ひとつなく伸び広がった花芯に、太くて硬いものがずっぽりとはまっている。  三枝は髪を振り乱していやいやをした。ありえない、しどけなくめくれた花びらが雄にじゃれついて、咀嚼するようにひくつく? つらくてたまらないのに悦びを見いだすなんて理屈に合わない。  無意識のうちに力むと、かえって猛りを食いしめてしまう。先端が最奥を嬲りのめすと、先ほどの未知の感覚が強まって、ぶるりと全身が震える。  陰門が俄然華やいで、もはや武内を止める手立てはない。 「ゆっくり動くから、な?」 「まだ、無理……ひ、っ!」  準備運動程度でも、攻め入ってこられると内臓がせり上がるようだ。退()かれると襞が攣れて、涙が浮かぶ。  8の字を描くふうな腰づかいに合わせて、ゆるめたり窄めたりすれば痛みがやわらぐのだろうか。  いわゆるバックヴァージンを奪われて早々の身では、そんな芸当は逆立ちしても無理だが。

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