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第1話 side朧

 窓を締め切った薄暗い部屋。  少しでも抵抗しようと、後ろ手に嵌められた手錠をガチガチと鳴らした。  抵抗虚しく、大きく両足を割らされる。  目の前の男は冷笑して、熱く猛ったペニスの先端を僕の後孔にあてがい、一気に押し入った。 「あっ……、あぁっ、痛っ……!」  シーツの上で足を突っ張り、尻を引いて逃げようとしてもすぐ背後には壁があってそれ以上は下がれない。  体を小さく二つに折りたたんだような体勢になりながら、その全てをのみこんだ。 「んっ……ん……」 「……可愛いね、ビクビク痙攣して。泣くほどいいの?」 「な、なんで……いつも……こんなっ」 「言ったよね? (おぼろ)が悪いんだよ。ボク以外の人を見てるから」  次の瞬間、力強く律動を開始された。  あまりの衝撃に頭が真っ白になる。  ズッ、ズッ、と規則的に鈍く湿った水音が響き、出したくないのに口からは自然と「あっ、あっ」と声が漏れてしまう。 「ほら、声ちゃんと我慢して。気付かれるだろ」 「むぅ……っ!」  片手で口を塞がれる。  表情を歪めて涙を溜めると、くく、と笑われたからゾッとする。  狂ってる。優しさなんて無い。恐怖で僕を支配しようとしている。  肩で荒く呼吸をしながら、はやくこの行為――お仕置きの時間が終わる事を願った。  目の前の人――兄さんは、自身が果てるまで最後まで笑っていた。

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