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第7話

 街で見かけた『君』に似た人。 視線だけで追っては違うとこっそり思う。 目の前の男はすきじゃない。 暴力ばかりで怒鳴るから煩くて仕方ない。 この目に映るのは白黒。この耳に聞こえるのは雑音。この身体はきっと人形だ。痛みなんて感じなくていい。優しさも、温度も知らなくていい。 僕の知っている『君』に出会うまで、全て全て棄てておこう。

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