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第14話

 15歳の誕生日。 最初の記憶の成人の年。  やはり、最初は朝焼けだった。 「三千世界の烏を殺し」 嬉し涙で濡れる瞳と頬に胸が締め付けられる。 「主と朝寝がしてみたい」 あぁ、やっと掴まえたという安堵と共にいられる幸福を噛み締める。苦く恨めしかった朝焼けがこんなにも輝いて見えるとは思ってもいなかった。 二人手をとり笑い逢う。 涙を流して額をつける。 あたたかい。 いつも冷たくなったあなたを見るばかりだった。 あたたかい。 幸せを願うばかりでいつまでも君を放せないと思った。 朝日が空を焼く時間。 普段なら起きてはいない時間に目が覚めて、出向かなければと思ったのは必然だった。 「何千世界を越えて、あなたをお慕いしております」 漆黒の烏のような瞳から流れる涙の煌めきにいつでも目を奪われる。 「うん、うん……。僕も、同じ。きみを愛しているんだ……」 三千世界を越えて、何千世界の世界を越えて、数多の烏を殺して、やっと手にいれた幸福。手放せないとわかっている。もう二度と世界に殺させやしないと決めている。  僕たちの関係を阻む者は排除する。 歪だと言われようと関係ない。 世界の始まりはいつでも輝き、希望と絶望をもたらすのだ。 「さぁ、共に朝寝をしよう」 これから迎える幾数千もの輝く朝焼けを楽しみに、幾ばくかの眠りにつこう。涙で濡れたきみを抱き締める。 あぁ、幸せだ。 たとえ、この手が、身体が、どれだけ血に穢れていようとも……。

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