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「痛…てて…」
気づけば、朝だった。
腕も、足も、全身が軋むように痛い。
「なんでこんなに…あ…!」
布団中から起き上がると、走馬灯のように、何が起こったのかが脳裏を巡った。
加瀬に、レイプされたんだった。
体中を見直す。いつもの様な、下肢にはスウェット、上半身は裸のままだが、乳首も、ペニスも、肝心な後孔も、腫れたように痛んだ。
「いて…ッ…くそ…ッ」
急いで、姿見のミラーまで駆け寄る。一歩一歩足を出せば全身に痛みが奔った。
鏡に映った体には、くっきりと首に絞められたような跡が残っていた。
記憶が蘇る。
ベルトと、アクセサリーの首輪で締められた跡だ。赤く残った跡は、二、三日残りそうだった。
そっと、スウェットの中を覗く。
ペニスには、くっきりと赤くブレスレットの跡が残っていた。
「な…!あー…くそ…」
記憶は芋づる式に蘇るものなのか、加瀬を相手に晒した痴態が、次々に頭で再生される。
なぜ、あんなに簡単に翻弄されたのだろうか。
加瀬の声。
加瀬の指。
加瀬の愛撫。
加瀬の。
「あああ!俺のばか!マゾ!淫乱ビッチ!」
きっと、加瀬は自分の隙を狙ってきたのだ。貴遠のいない時間をわざわざ調べ上げ、住所を調べ、盗撮までして。
「ん?盗撮?」
そういえば、脅迫に使われた写真はどうしたのだろう。
ばら撒かれた場所を探しても、何処にもない。
「あいつ…!」
証拠の写真を、取り返していない。
タンクトップを被り、ジャケットを着ると、跡隠しに首に首輪のベルトを巻く。
ベルトが触れると、ヒリヒリと痛んだ。
気を抜けば、加瀬の声が耳元に触れそうで、愁は頭を振った。
「バカ、淫乱」
それどころではない。一刻も早く、写真を取り返さねば。
スニーカーを潰すように履くと、愁は玄関を飛び出した。
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