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「お前見てるとその、手が先に出て…」 「………」 「愛とか、愛し合うとか、そんな生優しいものじゃなくて…なんだ…何言ってんだ?俺は」  目を逸らした加瀬は、頬が染まっていた。 「ガキじゃあるまいし、好きとか、そんな言葉じゃない」 「加瀬」  愁は、加瀬の名を呼ぶと、その体を引き寄せるように加瀬の唇を塞いだ。愁のすぐ目の前の双眸は、驚いたように瞠目していた。 「責任とれよな。もう、俺、濡れてるんだけど」  愁は、頬を流れる涙をそのまま、加瀬を見つめた。言って、もう一度唇を合わせた。深く、加瀬が、その体をベッドに押し付けるまで。 「あ…、加瀬…」 愁は、加瀬の愛撫を痺れるように感じていた。加瀬は、愁の乳首を吸い上げると、そのピアスを口に咥え、引っ張った。 「あッ、つ、待っ…」 「コレがいいんだろ?シュウ」 愁は、頬を膨らませた。そして、目を逸らし、頷く。加瀬は、何かに気付いたように愁の目前に顔を寄せると、赤面した愁の唇に、噛み付く様に口付けた。愁も、負けずにその唇を追う。吐息が熱く絡み、肌が上気していくのを感じた。  ふと、離れた加瀬が熱く囁いた。 「やらしいキスしやがって、この淫乱」 「おまえだって、相変わらずアブノーマルなことばっかり」 「お前の体がそうなんだろうが」 愁は、笑って、その首に腕を回した。濡れた熱い舌をその肌に這わせて、加瀬はきつくその体を抱きしめた。 軋みなど、忘れて気付かぬほど、強く。 『僕は誰も選べない』おわり

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