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6-3
加瀬は、優しく触れるように愁の唇を吸った。加瀬の唇が柔らかいことを、愁は初めて感じた。
「ん…、んふ…ん…っ」
舌が、歯列を分け入り、その先端が歯茎を柔らかく愛撫する。舌ピアスが、冷えた熱を呼び覚ましていく。
加瀬は自分をベッドに運ぶつもりだと気付いたが、キスの優しさに溺れ、抵抗ができなかった。
ついに、加瀬は愁をベッドにそっと押し付け、その首筋に顔を埋めた。
「…ぁ、か、せ…っ、柳田さ、んが、見て…!」
「かまわねぇよ。…それより、人目を気にするほど、余裕があるのか、シュウ?」
加瀬は、今までよりもより低く、耳元に囁いた。
ぞくり、と愁は肌が震えた。
「加瀬…っ、おま、寝ぼけて、ない…!」
「さぁ?どうだったっけ?」
「俺には構わず、ごゆっくり~」
柳田は、カメラ片手に手を振った。
「あ…ッ、加瀬…!待て、…待てよ!」
愁は、脇腹を撫で上げる加瀬の手を止め、叫んだ。
「なんだよ」
「俺、あんたの…あんたの、何だよ…!奴隷か?オモチャか?…に、肉便器かよ…!」
愁は顔を赤らめて、加瀬を睨み上げた。濡れた瞳が、揺れている。
黙った加瀬は、目を細めると、唇を舐めた。
「!」
分かっていた。この表情をするとき、この男が情欲を沸かせていることを。
加瀬は、愁の二の腕を掴み、強く引き寄せた。
「あッ」
目前に、加瀬の唇が迫った。嫌な予感を感じて、巣は身を固くした。
加瀬は、額に唇を寄せると、ちゅ、と音を立てて吸った。
「な…」
「お前が俺を選んでいいかどうとか、そんなこと、必要ねェんだよ」
「…っ、それは…」
愁は、加瀬の言葉に、俯く。
「お前は、俺に抱かれて、好き勝手にイって、俺をイかせればそれでいいんだよ」
「…は?」
「は?じゃねぇよ。聞いてんのか、人のハナシ」
「それって、セフレってこと?」
愁の言葉に、柳田が吹き出して笑いだした。
「外野は黙ってろ!」
柳田は生返事をして、退屈そうに頬杖をついて手を振った。
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