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第8話
いつもは毛におおわれて安心感のあるたまたまも、「全部丸見えだ」って鼻ですりすりしたりぺろぺろする。
だからまたちんちんがむずむずしだして、押さえつけられなくても腰を高く上げてしまった。
尻尾の付け根も指で触るもんだから、お尻がぴこぴこ上がってまたちんちんがきんきんになる。
「んー、んー、やだっ、それくすぐったいからっ......んに゛ゃぁっ!」
尻がぬるっとした。目から勝手に涙が出る。振り返ると、あいつが俺の尻の穴のところに鼻面を突っ込んでる。尻の中でなんかぬるぬる動いてて、気持ち悪いのにちょっと変な感じ。何してるか見えないけど、腹の奥の辺がじわっと熱くなる。
「や...ら、やめろって......」
でもあいつは顔を傾けて俺と目を合わせ、ゆっくり瞬きをした。『敵じゃない、安心しろ』って合図だ。崩れ落ちそうになる腰をあいつが支えてくれた。上の方から俺を見てる。べとべとになってる口元をぺろりと舌で拭って、「へへっ」ってまた悪そうな顔をした。
「交尾、しようぜ」
「え?」
ぎゅうっと何か丸くて温くて丸い、柔らかくて硬いものが押し当てられた。
「交尾って、俺雄だよぉ......? み、みぎにゃぁああああ!」
突然覆いかぶさってきたあいつに首を噛まれた。びっくりしたところに、ぐりぐり場所を探ってたものが、狙いを定めて突っ込まれた。
俺の!
尻に!
声を出した瞬間身体の力が抜けてたせいで、その丸っこい硬い棒みたいなのは一気に奥の方まで入った。
「やー! やー! なんか入った! やだ、怖い! やだぁ!!」
暴れてもしっかり押さえ込まれているから逃げられない。しばらく泣き喚く俺を、あいつは後ろから抱きかかえてじっとしてた。
「ふー、ふー、ふー……」
「大丈夫か?」
大丈夫かどうかなんてわかるか? 必死で首を振る俺の耳元にあいつの声が聞こえた。
「な、俺さ、本当は雌なんかよりお前とこうしたかったんだ」
「なんだよ、それ!?」
俺の質問はすぐにどっかに消えた。尻の穴に刺さった何かがぬーっと抜ける感じがしたと思ったら、また一気に入ってくる。
変な感じ、変な感じ、変な感じ! お腹がぱんぱんになってくるしいのに、動いてくときにきゅうって、ぴりって、ぞぞぞぞって、気持ちよくなるんだ。
「なぁーん、なぁおぅ、なぁ~、ぁんっ、ぁんっ」
いつの間にか俺はニンゲンの形なのに猫の声で鳴いていた。あいつが「んっ!......ああっ」ってうめいて背中に乗っかかってくるまで。
あれからあいつは、隙あらば俺の口を舐めてニンゲンになろうとする。そんなことはさせないようにあいつの後ろに回る俺、俺の尻を追いかけるあいつ。ぐるぐる回っていると、いつも餌をくれるばーちゃんに「あらぁ、今日も仲良しね」なんて言われる。
仲良しかどうかは知らないけど、俺たちは黒猫。
多分兄弟で、ここにいる。
今年も、願わくば来年も。
それから先のことは分からない。
ハロウィンで「とり、くおう、とり」をすることは二度とないだろう。
完
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