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1♡③※

 付き合ってすぐの頃から「一緒に暮らそう」と言ってくれた聖南は、ほんとに着々と準備を進めていた。  高校生だった俺が卒業してすぐに同棲開始できるように、身の回りの事や両親への説得を忙しい最中に少しずつやってのけていたと後から知って、感動の伝え方が分からなかった俺はとりあえず聖南に飛び付いたんだっけ。  今こうして生活を共に出来るのは、「俺を信じろ」と言ってくれた聖南のおかげだ。  ネガティブな俺に、毎日歯の浮くような台詞を言う聖南。  恋人からあんまり言われ過ぎると、嘘っぽいと思う人も居るかもしれない。  でも俺は言ってほしい。 毎日、安心させてほしい。  すぐにぐるぐるして悩み始めて突っ走る、ネガティブで卑屈な性格は治していかなきゃいけないのに、聖南は構わず俺を甘やかしてくる。  それが葉璃なんだから治さなくていい、とまで言ってくれて、過去が悲惨だった聖南もたまに心が不安定になってぐるぐるし始めるから、お互い様だって笑ってくれる。  だから、安心してられるんだ。  二人は確実に違う人生を歩んできて、歳も六つも違うのに、どういうわけか互いを補い合うような間柄になっている。  聖南が俺を見付けてくれなかったら、互いの伴侶には一生出会えなかった。  聖南がそうやって、俺の心を掴んで離さないようにしたから……俺は安心して仕事を頑張れる。  とても高いところに居る先輩としての背中を追いかけるっていう、人生初の目標も出来た。  でもひとつ、ほんとに小さな不満をあえて言うとしたら、ひとつだけ、───。 「んんっ…聖南さん、…っだめ」 「なんで」  さっきシャワーから出て着たばかりの聖南のパーカーをあっさり脱がされた俺は、寝室に入ってものの一秒でベッドに押し倒された。  唇を奪われて、すぐに舌を絡ませてくる聖南の肩を押してもビクともしない。  不満気に俺を見下ろす恋人は、夜だけは俺の「だめ」を聞いてくれない…。 「なっ、なんでって…! 昨日も一昨日もその前もその前も、…ていうかずーっとしてるからですよ!」 「当たり前じゃん。 かわいー恋人兼奥さんが隣で寝てますー、俺ギンギンですー、触ったらかわいく喘ぎますー、我慢できねぇ!ってなりますー、……な? やっちゃうよ」 「聖南さん…っ」  付き合ってすぐの頃から絶倫なのは知ってたけど、聖南が地方ロケの前乗りで居ない時以外ほとんど毎日エッチしてるって、ちょっと異常じゃないかと思う。  平然と言い放って俺の乳首を舐め回す聖南は少しも悪びれずに、今日も「ギンギン」らしい。  そうは言っても、気持ち良くて流されちゃう俺もいけないんだけどね…。 「葉璃も三分後にはここ元気になっからな」 「あっ…ちょっ、だめだってば…ぁっ」  聖南の手のひらは大きい。  いやらしく乳首を摘むのはもちろん、ただ素肌を撫でられるだけで顎が仰け反って背中が浮いてしまう。  ピリピリとした微弱電流が全身を駆け抜けて、知らぬ間に快感の波が始まるんだ。  聖南が言った通り、頭をもたげ始めた俺の小さな分身が喜んじゃうのはあと…三分と言わないかもしれない。  ヘソに舌を入れられて、周辺をいくつも吸い付かれると…もうだめだった。 「心配しなくてもゴムは付けるよ。 腹壊したら大変だからな」 「えぇ…っ? そんな心配、…してな…」 「ん? じゃあ何が不満なんだよ、葉璃ちゃんは」  あ、やば…っ、ギンギンな聖南のものが半勃ちの俺のにあたってる。  リアルで生々しい感触が敏感な箇所にあたると、腰がムズムズして足がバタついた。 「不満、ていうか、…っ、だめだよ、やり過ぎはよくないなって…」 「いつも二時間くらいで抑えてんじゃん。 仕事に影響出てんのか?」 「出てない…けど…」 「だろ、俺も一応加減してんだよ。 かわいーかわいー葉璃ちゃんが壊れねぇように」 「加減……? あ、あ、…っっ」  ローションを手に取って前戯を開始する間際の聖南の瞳が、やっぱり今日もギラついていた。  聖南は自分のものは俺にはほとんどいじらせてくれないくせに、「だめ」を聞いてくれないばかりか早くも孔に指先を入れてきた。  別々でシャワーを浴びる時は、自分で中を綺麗にする癖がついてしまった俺のそこは、聖南の指先を躊躇なく受け入れる。 「お、葉璃ちゃん慣らしてくれてんじゃん。 …なぁ、今度さぁ…どうやってんのか見せてよ」 「嫌だ! それは絶対やだ! あぁっ、だめ、そこ…っ、ぅぅ、…っ」 「見てぇよ〜! なんで毎回こっそりやるんだよ〜!」 「あ…っ、あっ、んっ…んん…!」  ぐちゅぐちゅと激しく指を抜き差ししている聖南は、本気で見たいとごねてるみたいだけど、俺も本気で見せたくない。  エッチが終わって聖南が後始末してくれる指先を思い出しながら、女の子とは違うんだからいつも綺麗でいなきゃって毎晩自分で洗う。  見えないから感覚だけで、聖南より短い指でぐちゅ、ってする……そんな姿見せられるわけないよ…恥ずかしくて死んじゃうよ。 「葉璃、愛してるから………見せて?」 「や、だ…っ、それだけは、むり…んっ…」  …わざとやってる。 聖南、俺がうんって頷くようにわざとイイとこ擦ってる。  挿れられた二本の指が中で巧みに蠢いて、断固拒否する俺の気持ちを動かすつもりなんだ。  散々舐められた乳首を聖南がもう一度弄び始めて、背中が浮く。  聖南の髪を掻き乱して、内外から襲いくる快感の波に悶えながらも頷かない俺と、頷かせようとする聖南。  静かな攻防戦がいつの間にか繰り広げられていた。

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