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3♡⑥

 聖南は優しい。 口は悪いけど、みんなに平等にすっごく優しい。  惚気てしまうくらい、俺には特に優しいと思う。  深夜だから消化にいいものをって、野菜たっぷりの雑炊をパパッと作ってくれちゃったりする、かっこよくて家事までこなす理想の恋人。  ………ただし絶倫だ。  これだけはいつもいつも、「勘弁して!」と掠れた声で叫んでも離してくれないし、許してもくれない。  しかも禁欲後の聖南はもっとしつこくて、「獣」じゃなくて「猛獣」になるんだよ。  そんな聖南にお仕置きされるって、俺とうとう壊されちゃうよ…なんて思って震えてたのが数分前のこと。 「───ん、じゃあやって」 「……うそでしょ…? あの…俺ヤだって…」 「ヤダは聞かない。 お仕置きだから」  野菜たっぷりの美味しい雑炊を食べてお腹を擦ってた俺を、聖南は笑顔でバスルームに連れ込んだ。  食べたばっかの俺を肩に担ぎ上げて、逃がさないようにして。  あれよあれよという間に服も下着も脱がされた俺は、ずっと笑顔で怖くなってきた聖南がシャワーのコックをひねるのを黙って見守った。  ───こ、ここでするの? でもまだ洗ってないよ…?  動揺した俺が「洗うから聖南さん出てて」と言うより先に、「やって」と言われた。  それが何を意味してるのか、聞かなくても分かった。  前々からやたらと見たがってる、俺が自分で後ろを洗う姿を聖南はご所望なんだ。 「うぅっ……! やっぱ嫌だ! 嫌です!」 「言い方変えてもだめ。 俺に冷たくした葉璃は、俺の言う事聞いて。 葉璃に冷たくされた、俺から離れてくのか、て事はもう俺の事好きじゃなくなったんだ、でも俺は葉璃を離してあげらんねぇよ、そんじゃ監禁するしかないか……。 ここまで考えるんだからな、俺は」 「えぇ……っ」 「葉璃は俺に冷たくしちゃダメ。 ぐるぐるしてても避けちゃダメ。 口利かねぇなんてもってのほか」 「………で、でもそれとこれとは…!」 「俺は不安だった。 だから葉璃ちゃんが一番恥ずかしくて嫌だって思ってる事を俺の前でして見せて。 そしたら安心する」  ま、待ってよ、俺より聖南の方がぐるぐるしてたって事?  全然そんな風に見えなかった…。  握られてた手首がまだ痛いくらい、聖南は怒ってた。 同時に、不安を感じさせてしまった事も分かってはいたけど…ここまで思い詰めてるなんて思わなかった。  聖南が見下ろしてくる。  シャワーから流れ落ちてくる水流が跳ね、髪や体が濡れて色気が五割増しになった聖南がジッと俺を見てる。  なぜだか分からないけど胸がいっぱいになった俺は、全裸で向き合う聖南の腕にそっと触れた。 「………聖南さん…」  俺はつくづく、自分の事ばっかりの人間だなぁ…。  第三者からのズバリの指摘でこんな事になるなんて、成長したいって望むより先に性格を治したいって思っちゃうよ…。 「ほら、俺のが我慢出来ねぇって言ってる。 見ててやるから、いつもしてるみたいにやって」  早く、と急かす聖南の中心部が、目のやり場に困るくらい反り立っていた。  二日禁欲してた分を早く取り戻したい、…そんな声まで聞こえてくる。  でも…嫌なものは嫌だよ…あんなもの見せられない。 せっかく、しばらくは見せなくて済むってホッとしてたのに……。 ていうか見ててくれなくていいのに……。  聖南は平静を装ってるけど、服を脱いだ辺りから目尻をヒクヒクさせていて、まったく余裕がない事を匂わせていた。 「葉璃、俺禁欲中なの知ってるよな? 俺は洗わなくても全然いいんだから、このままここで慣らして挿れちゃっていい?」 「えっ…あ、いやっ、それは…!」 「いいならヤるけど」 「ま、ま、待って、待って! 洗うから、待って…!」 「そんな気にする事ねぇのに」 「俺が気にするんです!」 「ふーん? じゃあやって? あ、いつも何使うんだ? ボディーソープ?」  わーーん…っ! 聖南が意地悪だよーっ!  絶対に聖南にだけは見せたくなかったのに、早く早くと急かされた俺は、ゆっくりとつるつるした床に膝を付いた。  ここは実家とは違ってバスルームにも床暖房が入ってるから、ヒヤッとしないとこがいい。  でもそれは一人でやる時だけの話だ。  聖南の前で膝を付いて四つん這いになるなんて、こんな恥ずかしい事…想像もしてなかったよ…。 「…………はい」  しれっとボディーソープを手渡してくる聖南を見ないようにして、二プッシュを手のひらに乗せる。  いい香りの白い液体が、いつもよりいやらしく見えた。 「……シャワー、取ってください」 「……ん」  シャワーヘッドを掴んだ聖南が、俺を凝視している。  とても聖南の方なんて見られないけど、めちゃくちゃ視線を感じる。  うわ…どうしよう…。  いつもどうやってたっけ……! 「葉璃、手止まってる」 「うぅっ…! ちょ、ちょっと待ってください、思い出してるので…!」 「ふっ……かわいー。 早く見せて」 「…………っっ」  見せてって言うなら、そんなにジッと見ないでほしいよ!  俺の背後に回ってしゃがんだ聖南は、きっと今嬉しそうに口角を上げて、瞳をキラキラさせてるんだ。  ……恥ずかしい。 今まさに都合良く意識を飛ばしてやりたい。  やらなきゃ終わらないなんて、羞恥地獄だ。  まるでステージやカメラの前に立った時みたいな心境。 「……ふぅ……」  ひとつ小さく息を吐いた俺は、ボディーソープを右手の中指に馴染ませて、恐る恐る穴に触れた。  最初はいつも固くて、第一関節を入れるだけでも異物感がすごい。  聖南が慣らしてくれる時も、いつもはじめは慎重に指先を動かしてくれるから、俺はそれを真似て時間をかけてじわ…っと入れていく。 「………ん、っ…」

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