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3♡⑦※
シャワーの流水音が、指先から漏れ出るやらしい音をかき消してくれた。
ぐにゅ、ぐにゅ、と、固い挿入口を緩めるように、指の腹を使ってボディーソープを塗り付けていく。
それから中指をじわじわと押し進めて、ゆっくりゆっくり抜き差しした。
滑りをよくするために、何回も擦る。 中にボディーソープが入ってくる感覚は、いつまでも慣れる事がない。
これが聖南の指だと気持ちいいのに、俺がしたって何にも感じないのはどうしてなんだろ。
バスルームに立ち込める温かい蒸気にのぼせそうになるから、いつもは手際よくやってるつもりだけど…どうなのかな。
中指がふやけるくらい擦っていると、滑りも手伝って根元まで入った。
そうなると恥ずかしさよりも異物感が増してきて、床に付いた左手に力が入る。
それでも少しずつ動きを早めていくにつれて、自らが出してるとは思いたくない、聞くに耐えない挿抜音に耳を塞ぎたくなった。
「……っ……ふ…っ…」
ボディーソープを足して中をグジュグジュかき回していると、徐々に解れてくのが分かる。
でも俺の指先では限界があるから、奥の奥まではいつも洗えない。
自分では見えなくて感覚頼りなとこがある。
泡立ってそこが綺麗になってくのか、拙い指先にちゃんと洗ってる意識があるのか、だんだん分からなくなってくる。
……もう…やだ、……やっぱ恥ずかしい…っ。
聖南の視線を感じるから、いつものようになんて出来ない。
左手だけじゃ支えられなくなってきて左肩を床に付けた俺は、聖南の方にお尻を掲げるような格好になってしまった。
これじゃ、よく見てと言わんばかりだ。
もっとちゃんと指先で中の感触を確かめて、いっぱい擦って綺麗にしたいのに、背後でしゃがんで凝視してくる聖南は少しも加勢してくれない。
「…ん、っ……ん…っ…! 聖南さ、ん…シャワー、取って…」
一旦洗い流そうと、シャワーヘッドを持ったままジッとこちらを見ていた聖南を振り返って、腕を伸ばす。
すると聖南はおもむろに立ち上がり、俺のお願いしたそれをフックに戻してしまった。
………あ…流そうと思ったんだけど…聞こえなかったのかな…。
「あとどれくらいやんの?」
「………へっ?」
再びしゃがんだ聖南が、俺の背中に覆い被さる。
突然密着した素肌にドキドキしていると、大きな手のひらが俺の濡れた素肌を這い回って、前方へとやって来た。
まったく男らしくない喉仏を撫で、鎖骨を撫で、狙い定めてたらしい乳首に到達した指先がコリコリと先端を立ち上がらせる。
「今ので終わり?」
「…い、いや、…違います、一回流したくて…」
「流さなくていいよ」
乳首から腰へ移動したはずの手のひらが、俺のお尻を一度むにっと鷲掴んだ。
そして───。
「えっ…? でもまだ…、んんっっ…!」
俺の指じゃ全然物足りなかったそこへ、聖南の指先がぐにゅっと予告無く侵入してきた。
中の具合を確かめるようにじわりと指先を挿れ込んで、それから何を思ったか俺には届かない奥までを一気に拓く。
「んあぁ…っ、」
「こんないい事を毎晩俺抜きでやってたの? ひどくない?」
「あ、あっ、…聖南さん…っ、」
「明日からは俺も一緒に風呂入るからな」
「んやっ…やっ……ぁ、…っ…」
全然洗えてないそこを、聖南が何度も擦った。 指の腹をくるくるさせて、向きを変えては何度も何度も抜き差しする。
なんでだろ…、自分の指じゃこんなに感じない。 こんなに声が出たりしない。
まだ聖南は中指しか挿れてないのに、なんでこんなに…気持ちいいんだろ…。
「聖南さん…、ちょっ…待って、…っ…なんで…っ?」
「何が?」
「分かんな……っ、分かんない、っ…」
「……気持ちいいの?」
「……っ、…うん、っ、…声…、出ちゃう…」
「あー…そういう事。 かわいー。 かわいーよ、葉璃」
「ぅぅ…っ、…んん……っ…聖南さん……」
一度引き抜いた指先に、ボディーソープを足してまた挿れられる。 拓いてきたそこは、容易く指先を二本迎え入れた。
俺が気にするからなのか、聖南が執拗に襞を擦る。
指の腹の感触を体に叩き込むように、聖南の指じゃなきゃこれが味わえないんだと教え込んでいるかのように、内襞を擦り上げる指先がやたらと熱心で、俺の視界を歪ませていく。
次第にお腹の奥がムズムズしてきて、両手を床について体を支えようにも腕がぷるぷると震えてきた。
自分でしてても何も反応しない小さな性器が、聖南の指先の動きに合わせて心許なく揺れ動く。
「葉璃が自分でする時って、ここ触る?」
思わず触れて扱いてしまいたいって手を伸ばしかけた時、聖南にそれを見透かされて耳元で問われた。
あぁ…だめだ……聖南の声はもっとよくない。
体が疼く。 指じゃ足りない…早く……って、そんな事を言ってしまいそうだ。
「え…っ? …ん、やっ……っ…触らない、…っ」
「なんで?」
「…だ、って、…気持ちよくない、から…」
「でもここ、触ってほしそうじゃん。 触ってやんなよ」
「やっ…待っ……、せなさん…っ」
「な、ほら。 自分で触って」
ひとしきりグジュグジュと擦って引き抜かれた指先は、微妙な泡立ちを纏っていた。
そんなやらしい聖南の右手が、俺の右腕を取って性器に触れさせようとする。 抵抗したくても、自身を握るまで離してくれなかった。
「俺が中ぐちゅぐちゅしてやるから、葉璃は自分で一回ヌいて」
そんな…っ。 俺、洗ってるとこだけじゃなく扱いてるとこも見せなきゃいけないの…っ?
俺が聖南に冷たくしたから、避けてしまったから、無意識に口を利かなくなって不安にさせてしまったから、……聖南は一緒くたに願望を叶えようとしてる。
猛獣のお出ましだ。
わがままな子どもの皮を被った、絶倫の猛獣が───。
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