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服を脱ぐのも脱がせるのも達人級の聖南は、バスルームに入るなり俺を四つん這いにさせた。
ツルツルした床面に手を付くと、もっと上体下げてと言われて顔が熱くなる。
背中に口付けてくる聖南にお尻を向けて恥ずかしい格好を強いられた俺は、黙ってるなんて無理だった。
「あ、っ……聖南さん……っ」
「もうちょいケツ上げろ、葉璃」
「んっ……それ、自分でやる、から……っ」
「誕生日くらい俺に甘えてよ」
「あぁ……っ、うっ……」
シャワーヘッドを孔に押し当てられ、まずは指先でふにふにと孔周辺を解される。 続けて、何かで滑らせた指がじゅくっと入ってくる。
俺の拙いやり方とは違う丹念な洗い方が、いつもすごく罪悪感だ。
そんな事しなくていい。
こんな事させてごめんなさい。
聖南にこれを言うとキレちゃうから、思ってるだけで口には出さないけど……つい聖南の視線が気になって振り返ってしまう。
襞を掻く指の感触に腰を揺らしながら、入念な洗浄にさえ意識を持っていかれる自分が嫌だ。
指を蠢かせている聖南は、怖いくらい孔を凝視していた。
やだ……めちゃくちゃ恥ずかしい。
視線を逸らそうとお尻を動かしてみても、すぐに捕まって「プリプリしてんのかわいー」と誤解された。
誘ってたわけじゃないし、可愛いと思ってほしくてプリプリしたんじゃないのに……聖南の視線は俺の目と秘部を行ったり来たりだ。
おまけに薄っすら笑ってて怖い。
綺麗なのに、どこまでもやらしくて、怖い。
「指増えてんの分かる?」
「……っ……わか、る……っ、だめ、……っ」
「なんでダメなんだよ」
微笑を絶やさない聖南は、ぐにゅ、とさらに孔を拓いた。
何度も繰り返される、洗浄と解し。
感覚で分かるようになってきた俺の体は、無意識的にそろそろ聖南を受け入れる準備に入る。
気持ちいいっていう、何にも代えがたい快感を追い始めるんだ。
増やされた指は、三本になった。
ぜんぶの指がバラバラに動いていて、時々いいところを掠めては俺の背中をしならせる。
聖南のものとは比べようもないのに、挿れられて擦られてるってだけで、もう気持ちいい。
せっかく滑らせた孔にお湯がかからないように、聖南は俺の中に指を突き立てたままシャワーのお湯を止めた。
流水音が無くなっただけで、たちまちやらしい音がバスルーム内に充満する。
「葉璃、ダメじゃねぇだろ? こういう時は何つーの?」
「あ、……も、う……気持ちい……っ」
「そうだよな。 葉璃のパンパンじゃん。 一回イっとく?」
ひどい。 こんな恥ずかしい事言わせるなんて。 言っちゃう俺が悪いんだけど、聖南はすごく楽しそうだからヤだ。
こっそりイっちゃいそうだった俺の性器もバレてしまい、背後からきゅっと握られるとそれだけでお尻が小刻みに震えた。
聖南はいっつも分かっててやってる。
ぷらぷらと寂しく揺れていた俺のものは、孔を解しながら視界に入ってたはずだ。
すぐに限界を迎えちゃいそうだって事も、絶対分かってる。
「あぁぁっ……触っ……るの、むり……、すぐ、出ちゃう……!」
「いいじゃん、もう少し慣らしてぇから一回イっときな?」
俺は力無く首を振った。
ほんの少し扱かれたら、すぐに一番最初の激しい射精が待ってる。
襞を分け入って蠢いている指の感触と、聖南の大きな手のひらではひとたまりもない。
でも、でも、……俺はもっと強い快感を知っている。
聖南を振り返り、俺のものを握ったままの腕を弱々しく取った。
「やっ、……でも、せな、さんの……まだ、はいってないもん……がまんする、がまん……!」
「なんで我慢すんだよ? あ、……もしかして葉璃ちゃん……」
「んっ……」
「ところてん、好き?」
「なに、なに……っ? ところてん……?」
「ほら、あれだよ。 いつも、俺が奥まで挿れたと同時に葉璃もイッちゃうじゃん。 あれがところてん」
「あ……っ! ……ぅん、……あれ、すき……」
前にも聖南から教わった気がする。
性器には触らないで、聖南のおっきくて長いあれで一気に中を貫かれると、目の前がチカチカして一瞬だけ下半身の感覚が無くなるんだ。
それが一番最初の射精だと、その余韻が長い。
実際に走った事はないけど、フルマラソンを完走したあとみたいに息が上がって、たまらない高揚感に見舞われる。
あれ、すごく好き。 射精した後の放心状態の俺に、聖南が「葉璃、戻ってこい」って優しく囁く声も、とっても好き。
「そうなんだ。 めちゃめちゃかわいーな。 あれ気持ちいいんだ?」
「うん、……っ……きもちい、すき。 きもちぃ……あっ」
「来て」
絶え間なく柔らかな快感をくれていた指を、唐突にずぶっと引き抜かれた。
なに?と首を傾げた俺は、立ち上がった聖南からひょいと体を抱え上げられ、反射的に聖南の首元に腕を回すとそのまま先端を孔に押し当てられる。
あっ……これ、俺の体重と重力、そして聖南の突き上げでびっちり奥まで入ってきちゃう、何とかって言う体位だ。
熱い先端が、もう孔を刺激してくる。
くぷ、くぷ、と、我慢出来ない亀頭が悪戯するのも、聖南の意思以外ない。
「こ、これ……キツい、……せなさん、……っ」
「もう慣れたろ? キツいのは最初だけだ。 たっぷり中は解したよ、……ほらっ」
「あ、ちょっ……、ぁぁああっ……!」
声にならない嬌声を上げた俺は、強い射精感に瞳を瞑り、孔を力ませながら聖南の肩を掴んでお腹に白い液体を飛ばした。
最初はキツいって聖南が言ってた通り、ずぶずぶと入ってきたそのスピードは決して早くはなかった。
それなのに、限界まで拓ききった孔へ挿入された大きな存在に犯された俺は、我慢出来なかった。
じわじわと押し入ってくる聖南のものが、敏感な襞を容赦なく擦り上げる。 それは、逃げ場のない快楽だった。
「はぁ、ぅ……っ……はぁ……っ」
「これでイくとちょっと飛ぶんだよな、葉璃。 ……おーい、戻ってこい」
耳元で囁かれた後、啄まれた唇が甘くなる。
真っ暗な世界に散った星みたいなチカチカが、今日の花火と重なった。
俺はどこまでも、愛に満ちた聖南の策略に溺れている気がする。
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