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14♡3※

 一見ほっそりとしてるのに、実はしなやかで逞しい腕を持った聖南が、俺を軽々と支えてくれている。  息が上がった俺はただ項垂れて呼吸を正す事しか出来なくて、しがみつく気力もない。  放心状態で聖南の胸に頭を寄せていると、何度も耳元で「葉璃」と呼ばれた。  花火みたいな星が目の前一面に広がった暗がりから、少しずつ聖南の元へ戻ってくるのが分かる。  やっぱりすごく気持ち良かった。 触ってもない俺のものからは、とろとろと余韻の雫がまだ溢れている。  俺を抱え直す度に、奥まで到達した聖南のものが中をじんわりと熱くした。 「腹まで届いてるか?」 「ん、……んっ……ふぁ……っ」 「すげぇビクビクしてんだけど。 大丈夫?」 「だい、じょぶ……ごめ、なさい……きもち、よくて……」 「……はぁああーー……かわいぃぃー……」  うっとりと天井を見上げた獣が、器用に俺のお尻をもみもみしてぎゅっと抱き締めてくる。  早く動きたくて仕方ないはずなのに、俺が飛んじゃうといつも戻ってくるまで待ってくれる、意外と辛抱強い獣。  寝てる俺に襲ってきた前科も何回かあるけど、結局叩き起こされてしまうのは「葉璃と目が合わないから嫌」なんだそうだ。  バックでするのがあんまり好きじゃない俺と、理由はちょっと似ている。 「ところてん上手に出来ました」 「あっ……も、言わないでっ」  いま充分恥ずかしいんだから、それを思い出させるように八重歯を覗かせてニヤニヤしないでほしい。  触らないでイっちゃうなんて、聖南と出会わなかったら一生経験出来なかった事だ。  ぜんぶ聖南から教わったんだって膨れても、さらに喜ばせてしまうから言わない。  ただでさえご機嫌な聖南は、ほっぺたを膨らませる寸前だった俺の腰を掴んで、早くもゆるゆると動き始めた。  音が過剰に反響するバスルーム内には、卑猥な粘膜音が立ち込める。  上下に襞を擦られて下半身が疼いた俺も、聖南の肩にしがみついて彼との快楽を追った。 「葉璃、舌」 「んっ……んっ……むぅっ……んっ」 「唾液ちょーだい」 「ん、む、んんんっっ……!」  直後、唇を奪われた俺の口腔内では我が物顔で聖南の舌が蠢いた。  俺の粘液を体内に取り込みたいという、少し異常な性癖を持った聖南は満足そうに俺の唾液腺を刺激して、舌に絡めて持っていく。  繋がったまま快楽を貪る聖南の腰は、濃厚な唾液の交換の最中も待ったナシだ。  容赦のない欲しがりに、俺はまたも酸素不足に陥った。  温かくたっぷりと湿った聖南の舌は、甘くて好き。 「俺のも飲み干せ」と言わんばかりの上顎への口撃も、俺が嚥下する時までも唇を離さない苦しいまでの愛情も、慣れてしまえば大好きでたまらない。  このまま聖南に愛され尽くして死にたいと思えるくらい、俺の孔にびっちりとハマった聖南のものさえ愛おしい。  滑りを利用した挿抜で、ずるずると中を抉られては締まっていく。  聖南が無意識に放つ「やべぇ」とか「気持ちぃ」とか、そういう些細な悦楽の呟きで俺も嬉しくなる。 「今日はいっぱい、おめでとう言わなきゃと思ってたんだ」 「はぅっ、……んぁ……っ……」 「頑張ったもんな、葉璃」 「……そ、んな……っ」 「ステージに出て行って言ってやりたかった。 みんなに、バラしたくなった」 「やぁっ……な、……なにっ? ……ん、っなに、を……バラす、の……?」  唇を離した聖南は、突き上げを早めて俺の肩に強く吸い付く。  せっかく聖南が褒めてくれてるのに、聞いてられる余裕が無くなってきた。  ぐちゅ、ぐちゅ、というやらしい挿抜音がやたらと俺の耳に響いて、おまけに聖南の囁きが全身を震わせてどうしようもない。 「俺の恋人は、……葉璃だ、って」 「あっ……だ、だめ、っ……だめ……っ」 「まぁな、この秘密の関係もすげぇ興奮すっからいんだけど」 「ぅあ、っ……んっ……」 「今日の葉璃は一段とキラキラしてて、さっきの花火より綺麗だったよ」 「んんんっ……ちょ、……せなさ、ん……っ、深い……っ……おなか、……くるし、い……!」  ぐりぐりと奥を抉られて、たまらず聖南の胸元に噛み付いた。  どこまで届いてるのか分からなくなる。  心臓も、お腹も、拡がった孔も、ぜんぶ苦しい。 瞳を瞑ると、もっとその感覚がリアルだった。  ゆるやかに腰を動かして、俺の腰を掴んだかと思えばいちいち奥をぐりぐりしてくる。  こんなやり方、聖南はあんまりしない。 「もう出そうなんだよ。 葉璃ちゃんぎゅうぎゅう締め付けてくっから」 「ぅうう……っ、せなさ、ん、……なか、出す……っ?」 「出してほしい?」 「……っ……! やっ……っ」 「嫌? いま、嫌っつった? ちゃんと全部かき出してやるよ?」  出そうなの、ほんとなんだ……。  いつになく早い聖南の絶頂の知らせに、もう俺の腰が疼いた。  しきりに奥をツンツンしてくる先端から、すでに熱いものを感じる。 それは内部でとろとろと聖南の性器を伝い、襞に膜を張るように潤滑剤の役割を果たした。  擦られる度に、滴り落ちる聖南の欲。  それよりももっと熱くて濃いものが内に注がれると思うと、羞恥よりも興奮が上回ってみっともない声が抑えられなかった。 「違っ……あの……っ、熱くなる、の……っ」 「何が?」 「おなか、あつくなる……、気持ちいい、から……っ」 「…………だからダメって?」  ダメじゃない。 そんなこと少しも思ってない。  気持ちいいからってちゃんと言ったのに、聖南は意地悪な挿抜を繰り返す。  こんなにじっくり動いててイけるのかなって心配になるほど、今日の聖南はエッチの最中も落ち着き払っていた。  そもそも俺は、聖南がいつイったのか毎回分からない。  お腹が熱くなっても、色っぽい吐息が聞こえても、性を吐き出したはずの聖南のものがちっとも変わらないんだもん。 「ん、ん、そう、……っ、せなさんの、おっきいまんま、だし……、終わんない、……っ」 「終わるわけねぇじゃん。 てか気持ちぃのはいい事だろ?」 「よく、ない……っ、あたま、へんになる……! からだも、おかしくなる……、から……っ」 「葉璃ちゃんさぁ、それ煽ってるだけだっていい加減気付け?」 「あっ……あっ、あぅっ……ぅん、っ?」 「うわ、……ちょっと葉璃、……っ」  どういう意味? 煽ってなんかないよ?  そんなことを思いながら聖南を見上げた途端、力強くグッと腰を持たれて下ろされる。  刹那、お腹が熱くなった。 「や、やっ……あつ、っ……っ」 「────っ」  強度の変わらないそれで内側を数回擦られた俺も、唐突に体内へとやって来た熱で下腹部を刺激されて二回目を放っていた。  同時に、内にいる聖南をギュッと締め上げる事になった俺を、聖南は恨みがましいというより困ったような顔でジッと見下ろしてくる。  聖南に言うと怒られそうだけど、その何とも言えない、初めての表情があまりにも新鮮で……すっごく可愛く見えた。

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