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「恋人を超越した仲になりたいって言った意味、分かった?」 「……はい。 ……なんとなく」 「あはは……っ、それでいい」  浅かったそこにたっぷりと湯が張られ、身も心もじんわり温かな気分で葉璃の頬に触れた。  湯船の中、啄むような優しいキスを何度も交わし、衰えては育つ自身の欲望を育てていく。  背中からうなじ、後頭部へと手のひらを這わせていくと、もどかしそうに葉璃がモゾモゾと腰を動かし始めた事で聖南のスイッチが入った。  自身は濡れた体にバスローブを羽織り、タオルでぐるぐる巻きにした葉璃を抱えてベッドに向かう。  おとなしくされるがままだった葉璃は、真っ白なシーツの上で横たわり、時計を見て呑気に「ふふっ」と笑った。 「聖南さん、もう三十分以上過ぎちゃいましたね」 「んー?」 「今日は一時間だけって言ってたから」 「あぁ、あれな。 こっから一時間だけど?」 「えっ!? そ、そんなの聞いてな……ぁっ」  したり顔の聖南が笑って見せると、「騙された!」と上気したその顔にしっかり書いてある。  今日は聖南によって綺麗になった後孔へローションを注入し、指先をぐにと挿し込む。 程よく柔らかな襞が難無く迎え入れてくれ、聖南は非常に気分が良かった。  やや性急に二本目、三本目と秘部を解す指を増やしていきながら、左手もゴソゴソと動かす。 「葉璃、見て見て」  挿入の刻が待ちきれない聖南の性器に、二人のセックスでは珍しいコンドームが装着されていた。  過去を思い出してヤキモチを焼く葉璃のため、あまり出番のないそれはもはや聖南にも窮屈だ。  だが今はとても気分がいい。  指を突き立てられて啼いていた葉璃が、じわりと上体を起こす。 反り勃った立派な性器を見て目を丸くした事で、さらに聖南は上機嫌だ。 「ん、……えぇっ、いつの間に……!」 「カッコいい?」 「かっ、……? それはカッコいいって言うんですか……?」 「分かんねぇ」 「ふふっ……ん、っ、……」  ゴムを装着すると、いつもはほんの一瞬だけ表情を曇らせる葉璃がクスクス笑っていた。  ホッとした。 曝け出して良かったと思った。  今や葉璃は、聖南の過去を気にする事なく全信頼を寄せてくれている。 「今日はずっと、葉璃の顔見てしたいな」 「あぅっ……う、っ……んんっ……」  滑りの足りないゴムにローションを馴染ませ、赤味の増した孔に先端を当てる。  そのままぐにゅっと亀頭の挿入を開始すると、両脚を広げて受け入れ態勢に入った葉璃が、聖南に向かって腕を伸ばした。  華奢な身体に覆い被さり、背中に腕を回させる。 その間もじわじわと腰を進め、いつ何時でもたまらない挿入感に吐息が漏れた。  半ば無理やりではあったが、葉璃にとって一番恥ずかしい行為を聖南に託してもらえた感動が、突き入れるごとに性器から全身に伝わっていく。 「葉璃ちゃん、腹ん中、空っぽ?」 「も、それ、……言わないで……っ」 「ごめんごめん。 俺すげぇ浮かれてる」 「ん、んんっ……はぁ、っ……せなさん……っ」  竿半分まで挿入したところ、ここで大体一つ目の壁にあたるので一度動きを止めた。  強引にこの先を進もうとすると、葉璃は今よりもっと聖南の背中に爪痕を残す事になる。  纏わり付くゴム越しの襞が、これ以上の挿入を阻むようにねっとりと聖南を締め付けた。 「痛くない?」 「うん、……だい、じょぶ、……うぁっ……」 「痛かったら言って。 奥トントンすっから」 「ふ、……っ、あっ、……だめ、っ……だめ、奥は……っ! あぁぁ……っ」  頷いた葉璃に了承を貰えた瞬間、宙に浮いた両方の膝裏を持ってさらに腰を進める。  挿し込んだ性器と内壁が、葉璃の射精によってぐにゅんと蠢く。 一度も触れずに、容易に性を吐き出した葉璃は可愛かった。  強い締め付けに合いながら、無意識に拒もうとする襞をかたい性器で押し拡げていく。  行き止まりになったそこで、ぐんっと根元までを突き入れて拓くと、毎度先端に感じる襞の最奥。  腰を引いては突くを繰り返し、性器に鈍く響くその感触と興奮を楽しんだ。  最奥を目指し離れてしまった聖南の身体を探す葉璃の両腕が、すとんとシーツへと落ちていく。 瞳をギュッと瞑り、顎を逸らせて息を詰め、自身の精液で腹を汚した葉璃はいつ見ても扇情的だ。  手のひらを膝裏から腿裏に移動させ、臀部をより高く上げさせる。 すると見下ろした先の葉璃の瞳が薄っすらと開かれ、視線が合った。 「すげぇ……かわいー……。 中ぐにゅぐにゅ動いてる。 俺の締め付けてんの、葉璃ちゃん?」 「あっ……ちが、……」 「奥気持ちぃな? イったばっかだと奥まで届かねぇけど」 「ふぁ……っ、あっ……や、っ……せなさん、っ……」  潰しかねないほどギュッと締め付けておきながら、聖南が腰を引くと寂しいと嘆くかのように内襞が収縮し興奮を煽る。  ビクビクと小刻みに震えていた腹を撫で、少しばかり柔らかくなった性器を扱いてやると襞に僅かな余裕を感じた。 「お、いけそう」 「あぁっ……ちょ、ちょっと待っ……だめ、奥、……っ、触るのも、……っまたイっちゃうぅ……っ!」 「何回でもイってよ。 葉璃、俺と気持ちよくなろ?」 「んんっ……せ、なさんっ……せなさん……っ」  許された最奥をぐぽぐぽと激しく突いていく。 亀頭も竿も、何ならみっちりと嵌った根元まで性感帯だ。  葉璃のよがり泣きで視覚的にも煽られる。 決して大きくない嬌声は高く、葉璃はそんな自分の声が恥ずかしいと下唇を噛んで堪えている事が多い。  ぐちゅぐちゅと休みなく挿抜する聖南に、甘やかな嬌声を上げて見詰めてくる葉璃が「聖南さん」と何度も名前を呼んでくる。  もはやその理由など分かってはいるが、余裕ぶった聖南は葉璃の頬を撫でながら首を傾げた。 「ぎゅーしてほしい?」 「ん、っ……して、ほしい……や、あぁっ」 「……かわいーなぁ、もう」  背中を丸めて葉璃を抱き締めてやると、素早く両腕と両脚が聖南に絡み付いた。 膨張しきっていたはずの性器が、中で微かに質量を増す。  細い腕で必死にしがみついて来る葉璃に、聖南は毎分毎秒心臓を撃ち抜かれている。

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