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聖南は変わってる。
俺がエッチの時だけタメ口になるのがすごく好きらしい。
考えて喋る余裕なんて無い俺には、聖南にこんなに喜ばれると分かってても意図的にそうする事は不可能なんだ。
ましてや素面の時に、年上で仕事上での大先輩の聖南相手に……なんて。
「やっ……う、んっ……っ」
「どうせ〝ヤダ〟って言うんだろうけど。葉璃は俺が知ってるより頑固だもんな」
「はぅっ……んや、っ……せなさん……っ! そん、……っに奥まで、挿れな、いで……っ」
ニコッと笑って油断させといて、奥までねじ込むのは意地悪以外の何ものでもないと思う。
グプッ、グプッとお腹の中から音がする。
気まぐれて着けたコンドームの先から、聖南の先走りが突き破ってきちゃいそうなくらい激しく何度も奥を突かれた。
めいっぱい聖南の形に拡がったそこが、だんだん熱を持ち始める。擦られる度に、熱くなる。
半分くらい引き抜かれてホッとしていると、俺に覆い被さった聖南が何かを企んでるみたいな意地悪な声で囁いてきた。
「このまま騎乗位したらどうなるかな」
「えっ? や、ウソ……っ、待って! せなさん待っ……あぁぁっ」
抱き寄せられた俺は、反射的に聖南の背中にしがみついた……と同時に、抱え上げられて目を見開く。
ウソ……っ、ヤバイ!なんてオロオロしてる暇なんか無かった。
半分だけ貫かれた状態で、俺はゴロンと寝そべった聖南の上に座る……と、どうなるか。
「いっ……あぁっ……!」
一気に奥深くまで性器を挿し込まれる。
ぐちゅぐちゅぐちゅ……と卑猥な音を響かせながら、聖南のお腹に両手をついた俺は背中をしならせて喘いでしまった。
「葉璃、腰浮かせてみて」
「……っ!? そんなの……っ、できな……っ」
「んー。じゃあ俺が手伝う」
「えっ、いやっ……う、っ……うぅっ……!」
出来ないって言ったのに!
聖南は俺の腰を両手で掴んで、軽々と上に引き上げた。
ズルズルと聖南のものが俺の中から出て行く感覚と、擦られて疼く内側の熱さが、いつも感じてる挿抜とは少し違った。
俺たちは滅多にこの体位でしないから、聖南に抱き上げられて体が浮いた俺には成す術が無いって事が、すぐには分からなかったんだ。
向かい合って座り、俺の全体重が乗る深い侵食。お腹から内臓を押し上げられるような、普通に生きてたらまず感じる事のない独特の刺激を前に、俺は視界を潤ませて縋るように聖南を見た。
ところが縋るように向けた視線の先で、聖南はいやらしくセクシーに笑っている。目が合うと、目尻を下げて眩しそうに俺を凝視する。
あ……だめだ。
今だけは俺の制止なんか聞かないって顔してる。
「騎乗位でところてん、やってみよっか」
「なっ、えっ……!? せなさん……それは、あの……っ、やめよ……?」
「いやいや葉璃ちゃん。ところてん好きだからって、そんなに期待しなくても」
「ちが……っ! 期待とかじゃなくて……!」
「イくまで触るなよ、それ」
「──っっ!」
こんな時だけ命令口調になるのズルい……キュンてした。
微かに息を呑むと、孔をギュッと締めてしまって、俺の心が鳴ったのを聖南に勘付かれた。
そういう不意打ちが得意な聖南に隙を作るから、俺の〝やめて〟に信憑性が無くなっちゃうんだ……。
「や、やだ……っ、やだってば! せなさん……っ、ダメ──っっ!」
策士な聖南が、ニッと笑った。
俺の腰を掴んでる聖南の手首に触れて、何とかところてんを阻止しようとしても……無駄だった。
先端だけで繋がっていたそこへ、太くて長い杭を素早く挿し込まれる。聖南はそれだけじゃ足りなくて、もっと奥を目指すべく下から突き上げてきたかと思うと、痙攣する内側を抉るようにグジュッと腰を回した。
「あぁっ……!」
ズプズプっとローションを弾けさせて貫かれ、自分の意思とは関係ない射精に涙を流して体を震わせた。
びくんっ、びくんっと喉を反らせて、精液を吐き出す。締まりきった中を無理に擦る聖南は、意地悪としか言いようがない。
まだ一度も触れられていないのに、我慢強くない俺のものは悲しげに揺れながら聖南のお腹を汚していく。
「ところてん上手だな、葉璃」
「やだ……っ、そんなこ、と……っ! 言わないでよ……!」
「ほっぺた真っ赤だ。かわいー」
「せなさんっ」
息が整わない俺を見詰める聖南の瞳は、詫びるつもりなんか無いと力強くギラギラしてるけど、どこか優しくて甘い。
俺のことが大好きだって目をして、下から突いてくるのはやめないなんてヤンチャの度が過ぎてる。
でも俺は、タガが外れた獣みたいな聖南に愛してもらう度、彼の恋人でいていいんだとネガティブな心を奮わせた。
「次、俺の番な」
「はぁ、っ……んっ……! あっ……あっ……! せな、さん……っ」
お腹いっぱいに聖南のものを咥え込んで、呼吸もままならないほど突き上げられて、ふと上体を起こした聖南に抱き締められると痛いくらいに興奮する。
イったばかりの俺の性器が、突き上げに合わせてピタピタと揺れた。先っぽからは二度目の予兆が溢れ出て、また聖南の体を汚してる。
俺の脳みそも揺れてる気がして、正気をどんどん失くされた。
何も考えられない。目も開けてられない。
「葉璃、好き」と何回も愛を囁いて俺を貫く聖南に、しがみついてるのでやっとだ。
「葉璃……っ」
「あっ、んっ……んぁっ……!」
一際激しくベッドを軋ませた聖南は、射精の間も俺の中をさらに堪能するように動きを止めようとしない。
抱き締めた背中がぶるっと震えた。足先が攣りそうになった俺と一緒に、聖南もたぶんイったんだろうけど……いつもの事ながら一回くらいじゃ少しも萎えないから終わりが見えない。
ただ、甘い吐息が乱れてる。
ほんの少しだけ、余韻を感じようとしてる。
「……葉璃、……愛してる」
「う、……っ……うん、……俺も」
繋がったそこからくちゅっと音がして、今さら恥ずかしくなった俺は聖南の胸におでこをこすり付けて頷いた。
聖南はそんな俺を力いっぱい抱き締めると、簡単に押し倒して抜かずの二発目を追い始める。
まだするの?と焦って見上げても、恋人はさらりと俺の髪を撫でて、知らん顔で乳首を舐めてきた。
俺を無視するなんて普段じゃ考えられない。
エッチの時だけは勝手だ。でも……そんなところも好き。
毎日俺は、心も身体も熱くて暑くてヤケドしそうだ。
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