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50❤︎⑧※
微かながら前後に揺れる葉璃は、聖南と繋いだ左手のみで体重を支え、ナカと外からの刺激に涙を浮かべ始めている。
動いてみろと言った聖南もまた、まるで葉璃から襲われている妙な感覚に陥った。
「あっ……! だめ、だめ……っ、せなさ、んんっ」
「このままイく? 我慢する?」
「が、まん……っ? なん、で……?」
「俺もイきたい。一緒にイこ?」
「ひぁ……っ! 待っ……んっ……んっ! やっ……」
聖南の扱く手に合わせ、快感を逃す手立てが無い葉璃の腰が止まらない。
片膝を浮かせて快楽に呑まれている葉璃は、頬を真っ赤にして腰を振り喘いでいる。
生まれて初めて襲われている感覚に酔いそうな聖南も、触発されたように扱く手を速めていった。
締め付けの強い襞にぐにゅぐにゅと蠢かれ、半端に収まった性器の敏感な部分を絶えず刺激されては、視覚的にかなりマズイ状態であった聖南もすぐに絶頂へと駆け上がってしまう。
「あっ……だ、め……っ! せなさんっ! だめ……っ」
「あぁ、俺も。……一緒にイこ、葉璃」
「あぁっ……やっ……やぁぁ……っ!」
葉璃の高い嬌声と共に、聖南の手は先端からとぷっと溢れた精液にまみれた。そして聖南は、葉璃の射精によってより窮屈になった中を数回浅く突き上げると、コンドーム内に熱を迸らせる。
くたりと前傾姿勢になった葉璃が倒れ込んできそうだったが、聖南はガッチリと繋いだ左手で押し戻し、それを許さない。
精液で濡れた右手は、未だ彼の柔らかくなった分身を握ったままで、あろう事かそのままゆるゆると扱いた。
「せ、せなさん……っ、なにして……っ」
「別に何も?」
「いやっ……だめ、もうっ! んっ……イった、から……っ」
「うん。知ってる」
「じゃあなんで……っ」
「いいからいいから。何も考えるな」
「いっ、あぁ……っ」
聖南の掌にすっぽりと収まる可愛らしい性器を、彼の放った精液をまとわせるように撫でていく。
射精後のふにゃりとした感触は、触れている聖南の方も案外気持ち良く目的を忘れそうになる。
一度放ったくらいでは強度の変わらない凶器は葉璃に埋まったまま、余韻を味わう間もなく恋人をひどく戸惑わせている聖南の目的は、一つしかなかった。
「せなさんっ! な、なんか、だめです……っ! あっ……だめな気がしますっ」
「全然ダメじゃねぇよ。可愛いよ、葉璃」
「ち、ちがっ、そうじゃなく……って、……ひぅっ」
潤滑剤となった精液が、ぬちぬちと生々しい音を響かせる。
聖南の上で悶え始めた葉璃の制止も聞かず、亀頭を中心に柔らかな性器へしつこく刺激を与え続けると、若干ではあるが性器に反応を感じた。
「お、もう少しか?」
「あっ……あっ……!?」
葉璃も自身に何かが迫っている事に気付いたようだが、握り合う手を離さない聖南はいつその時がきてもいいように彼の性器を凝視する。
噂でしか聞いたことのないそれが、果たして本当かどうかも定かでない。真実なのかを確かめたかったというより、単に興味が勝っただけである。
次第に芯を持ち出した性器を、手のひらや指を使って絶え間なく刺激した。
射精を促すように扱くのとは違い、掌全体を使って包み込むように撫で回す行為を、聖南は見様見真似で行っていたのだが、──。
「あっ、あっ、だめ……っ、なんかくる……っ! せなさんっ、手、やめ……あぁっ……!」
主に亀頭をふにふにと刺激し続けたところ、切羽詰まった葉璃が上体を反らした次の瞬間、先端から透明な液体が勢いよく飛び出した。
それほど量は多くなかったが、聖南と葉璃の腹を濡らしたそれは、紛れもなく目的達成を意味する。
ぶるっと体を震わせた葉璃の姿もひどく煽情的で、さらさらとした彼の体液で濡れた腹にも激しく興奮した。
「ん〜♡ 上手に出せたじゃん。かわいー……♡」
「はぁっ、はぁっ……はぁ……っ」
「おいで、葉璃」
しかし続けざまの強い刺激に、葉璃は訳も分からぬままただただ瞳を閉じて荒い呼吸を繰り返す。
早くもヘトヘトになった葉璃を、聖南はようやく抱き締めてやった。すると腹の辺りからぴちゃっと体液の擦れる音が響き、それが余計に葉璃の羞恥心を掻き立ててしまう。
「ごめ、なさ……っ、おれ、……おれ……っ」
「ん?」
「も、漏らしちゃ……っ……」
「……ん?」
聖南の身勝手な欲求に付き合わせてしまったというのに、精液でないものを漏らしてしまったと項垂れる葉璃は涙声で「ごめんなさい」と何度も謝っている。
背中を擦っていた聖南は、先ほどの籠城を思い出し慌てて「違うぞ」と訂正した。
「うっ……ご、めんなさ……っ」
「いやいや、違うんだ。葉璃、今のは俺が……」
「ふぇ……っ」
「あぁっ、葉璃! 泣くなって! 悪かったよ、勝手にやっちまって! 俺が悪かった!」
漏らした、とは少しニュアンスが違う。
ついには泣き出してしまった葉璃の体をぎゅっと抱き、聖南は大いに慌てた。
射精後にしか出来ないと聞き、葉璃の断りもなく唐突に〝見てみたい〟衝動に駆られた聖南が全面的に悪い。
「葉璃、今のは潮吹きだ。漏らしたわけじゃねぇ」
「しおふき……?」
「男でも出来るらしいって話はしたろ? なんか急にやってみたくなって」
明け透けにも程があると、葉璃はじわりと顔を上げ涙目で聖南を睨んだ。
「……っ、ひどい! 聖南さんの意地悪!」
「ごめんって! でも気持ち良かったろ? 新しい扉開いた?」
「開いてません!」
羞恥と怒りのこもった猫パンチが、聖南の胸にポコポコと繰り出される。
聖南は笑顔でそのすべてを受け止めながら、葉璃の背中を撫で続けた。
洗浄と同じく、他の誰にも見せられないであろう行為で聖南の胸を熱くさせた葉璃は、ひたすらに可愛かった。
だからといって葉璃が恥ずかしがる気持ちも分かるので、ヘソを曲げられる前に素直に謝っておく。
「葉璃ちゃん、ごめんな?」
「うぅ……」
「怒った?」
「うぅ……!」
「怒ってんのな」
「うぅっ」
「ごめん。ごめんな、葉璃。ちゃんと言えば良かったな。今から潮吹き体験しようなって」
「そ、そんなの、俺がいいよって言うわけないです!」
「じゃあやっぱ急にやっちまうしかねぇじゃん」
「なっ……!?」
悪びれない聖南に、再度葉璃からの猫パンチがお見舞いされた。
だが聖南はその手を素早く取り、やや上体を起こしてちゅっと唇を奪うと、彼の照れた目尻にもキスを落として微笑んだ。
「ははっ、俺たちもうビショビショ」
「…………っ」
「これ全部葉璃ちゃんのだけど」
「〜〜っ、聖南さんっ」
軽口を叩いた聖南がニヤリと笑うと、最後にもう一発、強めの猫パンチが胸元に炸裂した。
耳まで真っ赤にして項垂れているより、遠慮のないそれの方が聖南は嬉しい。
そういう姿を見せていいのは自分にだけだと、心中は独占欲でいっぱいな聖南だった。
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