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プロローグ *
あんどん型のフロアライトの光が床の間に吊られ、緊縛されている男性の肌をなまめかしく、温かみのある色合いに染め上げている。
書院窓に映る鎖骨まで伸ばした髪の男性の影が映る。
とろりと視点の合わない瞳に何が映っているのだろうか。
「やっあああっ!」
ぐずぐずになるまで潤滑剤を注いで、拡げた窄まりに刀身を一気に最奥まで突き入れ、間髪入れずに律動を刻む。
汗でぬめった体をくねらせ、快楽から逃れようともがく左脚をつかみ、胸側に押し倒す。足袋の中で指先がきゅうっと丸まった。
途端、肉ヒダが狭まり、締め付けるとS字結腸側にカリがつるりと侵入する。光波 側にもすさまじい快楽をもたらしく、叫び声のような声を上げる。
「あああああっ、…………ッ」
声も出せず、背中を逸らす。呼吸をしたと思ったらまた、快楽の波に呑まれたらしく、硬直する。
乳首や濡れた肌を触るだけで、ビクビクと身体が跳ねる。
「クッ……」
黒葛原光波 の細い腰をつかみ、浅く深く、緩急つけて、最奥の粘膜をえぐるような角度で責める。上から吊ってある縄のおかげで、無意識のうちに暴れる光波の行動を制限でき、好き勝手に動ける。
「さとしさん……ああっ、そこ、イイッ」
「出しますよ」
「……ア゛ッ…………」
視点が定まらない瞳が大きく見開かれる。
奥を小刻みに刺激し、腰の動きを止めゴムの中で自身が脈打った。
「ほどきますよ」
軟体類みたいにぐったりしている光波を抱き締めながら、縄をほどいてやり、擦過傷がないか確認する。
上気した頬は血色の良いピンク色になっており、潤んだ瞳は普段より大きく見えた。
崇水さんの頼みだから、と言い訳がましく力の抜けた身体を抱き、温めたタオルで体液にまみれた身体を拭き、ボディクリームを塗る。
冷たかったのかふいに、視線が合う。
「ごめん、なさい。お世話……させて」
喘ぎ過ぎたのかかすれた低い声がまた情欲をかき立てる。
「少しやり過ぎました。寝てていいですよ」
「よかったですか?」
「すごくよかったです。いい子ですね、光波」
敷布団に運ぶ。汗で濡れた黒髪はしっとりとしている上に、ライトの光でつやつやしている。肌に張り付いた髪を梳きながら、そのまま傍で横になる。
月城聡 の情欲を煽るどこまでも存在。
(始めは、崇水 さんのご命令で、保護しようとしていたのに…)
哲の自宅に光波を引き取りに来た時に、目を奪われたのがそもそもの始まりだったのか?
それとも、彼に似たアスハに出会った時から、出会うべくして出会った存在なのか?
「可愛い、私だけの器」
丁寧に丁寧に、育ててきた――育成途中の――愛おしき存在。血色のいいかさついた唇にそっと唇を重ねた。
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